駒場祭 川人ゼミ模擬裁判2018

川人博弁護士を講師とする川人ゼミが、東大駒場祭で、今年は「校則と自己決定」をテーマに模擬裁判をすることを知り、参加してきました。

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イチョウ並木はちょうど見頃になっていましたが、その並木の下は各サークルの模擬店が立ち並び、見学客で混雑していました。

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会場は、開廷数分前にはいっぱいとなっていました。

裁判は、私立青海高校の2年生の女子生徒が、生まれつき地毛が茶色にもかかわらず、「黒髪にすること」という校則に違反するとし、担任から「黒髪にするように」と、何度も注意・指導を受けながら、その指導に従わなかったこと、また、雑誌モデルという芸能活動を行っていて、専属契約になってから学校の欠席が目立ち、学業成績も下がってきたことから、「学業に著しく支障をきたす場合は、副業を禁止することができる」という校則に違反するとし、芸能活動をやめるように指導されたが従わず、学校にウソをついて休み芸能活動をしていたことが知られてしまい、担任から反省文を書くように指導されたが無視したこと、などの理由から、家庭の協力も得られなかったこともあり、退学処分となったことから、学校に対して、退学処分の無効と慰謝料360万円を請求する裁判を起こしたというものです。

模擬裁判は、ゼミの学生たちが、脚本を作成し、裁判官、証人、原告代理人、被告代理人役を演じ、最後に、会場のアンケートをもとに判決を下すというものでした。

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学生の解説の中でも指摘していましたが、校則に関する裁判では、校長の裁量権を広く認める最高裁判例があり、しかも私立学校の場合には私学の独自性も認められています。したがって、現実の裁判では原告の女子生徒の主張は認められない可能性が高いと考えられます。

昨年の10月に、大阪府立懐風館高校3年の女子生徒が、頭髪が生まれつき茶色いのに、学校から黒く染めるように強要され精神的苦痛を受けたとして、220万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしたことが新聞等でも報道されました。
模擬裁判は、この訴訟を題材にしたものと思われますが、地毛の茶髪を黒く染色させることについては、生徒のアイデンティティを侵すものであること、地毛が黒髪でない人は1割程度いること、外国人等も増えていることなどから、批判が強くなっています。模擬裁判でも、黒染め規定は合理的なルールといえるのか、身体的特徴によって待遇が変わることは社会通念上許されるのかが争点となっていました。

芸能活動を禁止した学校の判断は正当だったのかについては、女子生徒の芸能活動と成績低下とは因果関係があったのか、また芸能活動が校内の風紀を乱したのかが争点となっていましたが、個人的には、たとえ芸能活動によって成績低下が見られたとしても、進級できないほどの成績低下ではなかったので、学業にどの程度悪影響があったかを問うのは難しいのではないかと思いました。

そして黒染め規定に従わないことと芸能活動の禁止に従わなかったという校則違反を理由に退学処分をした学校側の判断については、かなり無理があるという感じがしました。
会場の意見も多くがそのようでした。
したがって判決は、退学処分は無効とするというものでした。ただ慰謝料については120万円と、請求の3分の1に減額する判断でした。

校則については、日焼け止めの禁止、肌着の色の指定、ポニーテールの禁止、恋愛の禁止などブラック校則と言われるような、合理性がなく必要性が説明できないような規定を設けている校則が問題視されています。
これまでは、校則は学校側が制定し、生徒は校則に従う存在だという不文律がありました。したがって生徒は、たとえ理不尽な校則であっても守らなくてはならないとされてきました。

しかし、学校で学び生活するのは生徒であり、生徒が学校をより良くしていくための主体となる必要があります。
生徒、父母(保護者)、教員の三者が共同でより良い学校づくりのために議論をしていく「三者協議会」を設置する高校はまだまだ少ないものの、毎年、全国交流集会も開かれています。
私は、この三者協議会が各学校で設置し、校則の問題を始め、学習や学校生活の様々な問題について議論し、より良い学校を作っていく、開かれた学校づくりを進めていくべきだと考えています。その議論の中で校則も変えていくことができます。
東京では、東京大学教育学部附属中等教育学校や私立大東学園高等学校で三者協議会が行われています。私も在職していた高校で、教頭時代に三者協議会の設置を提起し、実施したことがあります。
こうした動きが広がっていくことを期待しています。

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