日本キャリアデザイン学会研究大会

日本キャリアデザイン学会第15回研究大会が9月15日・16日に関西大学で行われ、参加してきました。

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15日の自由研究発表では、部会9の「中・高におけるキャリア教育」の司会を担当しました。
発表では、桐蔭学園の一蝶亮さんの自身の学年で取り組まれたジョブシャドウイングの効果に関する実践報告に興味を持ち聴きました。進学校として大学に進学させれば事たれりとする現状を克服するために、京都大学の溝上慎一さんの助言を得ながらキャリア教育、学校の教育改革を進めているとのことでした。発表されたジョブシャドウイングは、1年次の夏休みを利用して、卒業生の協力による企業で実施し、その結果、「仕事・職業に関すること」「大学へ進学すること」を考えた生徒が多く、キャリア意識の高い「勉学タイプ」が増加したことを明らかにしました。桐蔭学園における3年間のキャリア教育のプログラムが示されなかったので、どのような位置づけでジョブシャドウイングを実施したのかがわからないところがありましたが、進学校でも大学に進学させればよいという進路指導を克服しようとする取り組みがみられたことは評価できると思いました。

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16日の自由研究発表は部会11の「ワークとライフのマネジメント」に参加しました。企業における従業員のワーク・ライフ・バランスの満足度を決定する要因を探った平尾知隆さん(摂南大学)の報告は、上司の役割やマネジメント、公平な仕事配分などが大きな要因になっていることを明らかにされ、企業と学校では異なるところがあるとは言え、自分が教頭のときは上司の役割としてどうだったか、思い出しながら発表を聴きました。65歳定年制企業と60歳定年制企業とのシニア従業員に対するキャリアや処遇を比較した藤本真さん(労働政策研究・研修機構)の報告は、JILPTの調査をもとに、60歳定年制企業の方が「慣れている仕事に継続して配置すること」と「本人の希望への配慮」が統計的に有意であるとし、65歳定年制企業ではシニア従業員も企業の戦力として見なして処遇使用としている姿勢が強いことを明らかにしました。65歳定年制が増えていく中で、課題として企業の負担にならないような、人件費管理、要員管理が必要だとしていますが、企業に負担のかからない人件費管理とは要は人件費の引き下げを意味しているようで、それでいいのか、疑問に感じました。

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特別講演は元尼崎市長の白井文さんの講演でした。「Experience never gets old」をテーマに、自身のキャリアを振り返りながら、現在、大阪府男女共同参画推進財団業務執行理事として取り組んでいる「女子高生のためのサマースクール ガールズアップセミナー」を紹介し、女子高生に自分らしく生きることの大切さを考えてもらい、将来に夢を持つことを応援する取り組みをしていること、そのジェンダー平等の実現のために活動されている姿は、とても興味深いものがありました。

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大会最後のプログラムはシンポジウム「人材育成とキャリア形成」で、OJTに関して佐藤厚さん(法政大学)をコーディネーターに、中村恵さん(神戸学院大学)・中原淳さん(立教大学)・藤本真さん(労働研究政策・研修機構)・武石恵美子さん(法政大学)がパネリストとなり、労働経済学、経験学習論、人的資源管理論、女性労働論というそれぞれの視点からOJTについて議論が行われ、勉強になりました。日本の場合、教育における職業的意義が弱く、職業教育よりアカデミックな教育が上に見られ、また企業の採用がメンバーシップ型になっていることがあり、職業訓練は企業によるOJTが中心にならざるを得ない、そして女性はその機会にも男性より差があるのではないか、と感じました。

リタイアしている身ですが、中身の濃い勉強ができた2日間でした。

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