労働法教育(ワークルール教育)

非常勤講師をしている大学での「職業指導」の授業は、先週、今週と「労働法教育」について取りあげました。

高校現場では、キャリア教育が取り組まれてはいるものの、その中で労働教育をきちんと位置づ.けて行っている学校は少ないのが現状です。その要因としては、労働者の権利を教えると生徒が就職の際に不利になるのではないかという「遠慮」が高校側にあったことも否定できませんが、もう1つは、教員が大学時代に、教職課程の進路指導や職業指導関連の科目の中で、なぜ労働法教育をする必要があるのか、また、どのように取り組んだらよいのかについて、学んでこなかったことも大きいと思っています。

日本労働弁護団が2013年10月にワークルール教育推進法の制定を求める意見書を出し(http://roudou-bengodan.org/proposal/post_50/)、法案(試案)を作成する一方、日本弁護士連合会もプロジェクトチームを作り、2017年2月には同じく意見書を文部科学省・厚生労働省などに提出しています(https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2017/170217_4.html)。国会では、超党派の非正規雇用対策議員連盟が結成され、議員立法「ワークルール教育推進法案」をまとめ、来年(2018年)の通常国会に提出する予定と報道されています(『毎日新聞』2017年12月1日朝刊、https://mainichi.jp/articles/20171201/ddm/012/010/047000c)。

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厚生労働省『「はたらく」へのトビラ』(http://www.check-roudou.mhlw.go.jp/tobira/index.html

授業では、1990年代後半以降、日本型雇用システムが崩壊し、不安定で低賃金の非正規雇用労働者が増加しする一方、正規労働者も長時間労働を強いられ、労働者の権利が蹂躙されるようになり、若者たちが使い捨てにされる「ブラック企業」がはびこるようになったこと、また、労働組合の組織率の低下とともに、労働組合の労使紛争の解決能力も低下し、労働相談は増加し高止まりとなっていること、若者の労働者の権利に対する認知度も低下していることなど、労働法教育が必要とされている背景を説明したうえで、学校現場では2004年頃から先進的な教員によって労働法教育が取り組まれるようになったことや、労働法教育の実践事例として、神奈川県立田奈高校(当時、吉田美穂教諭)、千葉県立犢橋高校(当時、角谷信一教諭)、そして私が勤務をしていた時期の桜華女学院(現・日体桜華)高校のワークシートの一部を紹介しました。

学生たちのリアクションペーパーには、次のような感想がありました。

・現在、さまざまな労働問題が発生している。非正規労働者は不安定雇用や低賃金、正規労働・労働者の権利を早い段階者はでも長時間労働の強制や、精神疾患の増加、退職を強要させるといったことがある。全体として労働条件の不利益変更や、セクハラやパワハラといったハラスメントの増加などがある。だが、これらに抵抗し、自分を守る権利が労働者側にも存在する。しかし、どのような権利があるのか、また、権利があることすら知らない人が多い。これは教育の場で教えてくれる機会が圧倒的に少ないためだと考える。実際私自身も、大学で初めて知った。アルバイトも含む労働する側にもさまざまな権利があることを学生のうちから認知、理解することで自分のことを守れると思うので重要だと思った。

・労働者の権利を早い段階(私は高1)からでも学ぶべきだと感じた。高校生からバイトはするし、将来的に知っていてよいないようであり、自分も良く理解しないといけないなと感じた。

・高校生位の年齢だと、働く際のルールを知らないまま就職したり、すでにルールを知らないままアルバイトをしている生徒もいるので、ワークルール教育を行い、労基法などを理解させる時間が必要だと思った。

・学生にアルバイトをする上で自分たちにどのような権利があるのかを考える権利講習を行うことや、出退勤時間の記録やパワハラを受 けたときにその内容を録音し証拠を残すといった自分の身の守り方を教える必要があると思った。

学生たちが将来、教職についたときには、キャリア教育の中で労働法教育(ワークルール教育)を生徒のために行ってほしいと思っています。

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