給付型奨学金

自民党は、返済する必要がない給付型奨学金について、原則として高校時の成績が5段階評定で平均4以上出あることを条件に、月3万円を給付する方向で文部科学省と調整を始めた、と新聞で報じられました(『朝日新聞』2016年10月21日朝刊)。

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『朝日新聞』2016年10月21日朝刊

文科省は、給付型奨学金について、住民税の非課税世帯などの大学生らを対象に、一定の成績基準を設けることを検討しています。

自民党案と文科省案をもとに、住民税非課税世帯などで評定平均値4以上の生徒を対象とした場合、自民党の試算のように1学年あたり2万5000人程度が給付型奨学金の該当者となるのかが問題となります。

上西充子さん(法政大学教授)は、Twitterで、「住民税の非課税世帯などの大学生らが対象。家計が苦しければ高校在学中からバイトもしているだろうし、成績が4以上というのは彼らのおかれた実情を見ない案」と批判的に見ています(https://twitter.com/mu0283?lang=ja)。

現在、高校は、進学校から中堅校、進路多様校、教育困難校と偏差値輪切りによりランクづけされています。
学力と社会階層は、耳塚寛明さん(お茶の水女子大学教授)らの研究によって、正の相関があり、富裕な家庭層の子どもほど学習成績も良い傾向にあることが明らかになっています。
また、進学校ではアルバイト経験のある生徒は少なく、中堅校以下の偏差値が低い学校ほどアルバイトをしている生徒が多くなることも知られています。
私が在職していた学校は進路多様校でしたが、評定平均値がAランクの生徒は8%程度。Bランクの4以上を加えても10%程度というのが実態でした。(評定平均値のAからEランクの割合は学校によってかなりばらつきはありますが)。私学でしたので、低所得者の家庭を対象に「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」で助成を受けていた家庭も少なくありませんでしたが、そうした家庭で大学進学を希望する生徒(評定平均値が4以上とは限りません)はごくわずかでした。
したがって、私が在職していたような進路多様校で、住民税非課税世帯で評定平均値が4以上で大学進学を希望するという条件に該当する生徒は、ほとんどいない、いたとしてもごく少数といってよいと推測できます。
給付型奨学金をより多くの学生に給付することを考えるのであれば、所得制限をもう少し緩和し、評定平均値もBランク以上、そして専門学校まで含めて給付対象にすることが必要ではないかと思っています。
また、給付額は月3万円では少なすぎます。最低でも貸与型の第一種(無利子)の私立自宅外の月6万円程度にすべきです。

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