厚生労働省の高校生アルバイト調査

厚生労働省は5月18日、高校生アルバイトをめぐる労働条件や学業への影響等の現状及び課題を把握し、適切な対策を講じる参考にするために、高校生を対象に実施したアルバイト調査の結果「高校生に対するアルバイトに関する意識等調査結果について」を公表しました。

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『朝日新聞』2016年5月19日付朝刊

今回の調査は、昨年12月から今年2月に厚労省が開いた労働セミナーに参加をした高校生4016名のうちアルバイト経験のある1854名(46.2%)の回答です。
経験したアルバイトの業種は、スーパーマーケット(22%)、コンビニエンスストア(14.8%)、チェーンの飲食店(牛丼・カレーショップなど)(6.7%)、その他販売(ホームセンターやドラッグストアなど)(5.9%)の順で多かったこと。
労働条件通知書等を交付されていないと回答し生徒は60.0%、労働条件について、口頭でも具体的な説明を受けた記憶がない生徒は18.0%であったこと。
労働条件等で何らかのトラブルがあった生徒は32.6%、トラブルの中ではシフトに関するものが最も多いが、中には賃金の不払いがあった、満18歳未満に禁止されている深夜業や休日労働をさせられたなどといった法律違反の恐れがあるものもあったこと。
こうした高校生のアルバイトの実態が明らかにされました。なお、トラブルに関しては32.7%の生徒が未回答であり、実際にはもっと高い比率である可能性が高いことが推測されます。

また、労働条件などに関して困ったことがあった場合、どうしたかを聞いた設問では、「困ったことがなかった」の539名(29.1%)を除くと、「家族に相談した」が570名(30.7%)で最も多く、次いで「知人・友人に相談した」484名(26.1%)、「職場の上司に相談した」162名(8.7%)の順で、「アルバイトを辞めた」96名(5.2%)、「何もしなかった」94名(5.1%)でそれに続き、「高校の先生に相談した」は35名(1.9%)でした。また、労働局や労働基準監督署、都道府県等の窓口に相談した生徒は1桁の人数に過ぎませんでした。

アルバイトを禁止しているか許可制にしている学校が多いにもかかわらず、実際には、進学校は少ないものの、進路多様校や教育困難校などでは多くの生徒がアルバイトをしているのが実情です。しかも、アルバイトをしている生徒の約3分の1が何らかのトラブルに遭っていることを踏まえるならば、高校は、「アルバイト禁止」で済ますことはできません。ブラックバイトから生徒を守るためだけでなく、将来社会に出て働くときにも労働者として自分の身を守るためにも、キャリア教育の中で労働法教育にきちんと取り組む必要があります。労働契約法や労働基準法などの法律の内容、労働組合(ユニオン)の役割、トラブルに遭ったときの対処法、相談窓口などについて、教材を工夫したり、外部の専門家を招いたりして、生徒に理解できるように進めていく必要があります。そしてアルバイト先で何かあったときに教員が生徒の相談相手になれるようにしなければなりまん。また、生徒1人ではなく、仲間とともに職場の改善に取り組む力量を身につけさせるためにも、生徒会やクラスでの生徒自治の取り組みを経験させていくことが必要になっていると思っています。

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