ブラック企業調査

厚生労働省は12月17日、過酷な働かせ方で若者らを使い捨てる「ブラック企業」対策として、情報をもとに選んだ全国5111の企業や事業所に対して9月に実施した監督結果を発表しました。全体の82%に当たる4189企業・事業所で長時間労働や残業代不払いなどの法令違反があり、是正勧告をしました。ブラック企業が社会問題化する中、違法な過重労働を強いる事業所がまん延している実態が浮き彫りになりました。 
厚労省は「若者だけを対象にしたものではないが、過重労働を強いられるのは若者が多い」と分析。是正しない場合は、労働基準法違反容疑などで送検した上で社名を公表するとしています。

厚生労働省の「若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況」によれば、以下のような監督結果が報告されています。

第1.過重労働重点監督の結果
1 平成25年9月を「過重労働重点監督月間」とし、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対して集中的に実施した「過重労働重点監督」(以下「重点監督」という。)の結果は、次のとおりです。
【重点監督の結果のポイント】
(1) 重点監督の実施事業場:5,111事業場
(2) 違反状況:4,189事業場(全体の82.0%)に何らかの労働基準関係法令違反 
    〔(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場〕
 ・違法な時間外労働があったもの:2,241事業場(43.8%)
 ・賃金不払残業があったもの:1,221事業場(23.9%) 
 ・過重労働による健康障害防止措置が実施されていなかったもの:71事業場(1.4%)
(3) 健康障害防止に係る指導状況〔(1)のうち、健康障害防止のため、指導票を交付した事業場〕
 ・過重労働による健康障害防止措置が不十分なもの:1,120事業場(21.9%)
 ・労働時間の把握方法が不適正なもの:1,208事業場(23.6%)
(4) 重点監督において把握した実態
 ・重点監督時に把握した、1か月の時間外・休日労働時間が最長の者の実績
   80時間超:1,230事業場(24.1%)
   うち100時間超:730事業場(14.3%)

このほかにも、労働者からの申告(労働基準法第104条に基づいて労働基準監督署(以下「監督署」という。)に違反の事実を申し立てるもの)を受け、申告監督を実施しています。
 重点監督及び申告監督において是正勧告等を行った、違反・問題等の主な事例は、以下のとおりです。
〔違反・問題等の主な事例〕
 ・長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、その後も、月80時間を超える時  間外労働が認められた事例
 ・社員の7割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、割増賃金を支払っていなかった事例
 ・営業成績等により、基本給を減額していた事例
 ・月100時間を超える時間外労働が行われていたにもかかわらず、健康確保措置が講じられていなかった事例
 ・無料電話相談を契機とする監督指導時に、36協定で定めた上限時間を超え、月100時間を超える時間外労   働が行われていた事例
 ・労働時間が適正に把握できておらず、また、算入すべき手当を算入せずに割増賃金の単価を低く設定してい  た事例
 ・賃金が、約1年にわたる長期間支払われていなかったことについて指導したが、是正されない事例

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『東京新聞』2013年12月17日付夕刊

この調査結果からは、法令違反のあった4189事業所のうち、「違法な残業(時間外労働)があった」事業所が43.8%、「賃金不払い残業(サービス残業)があった」事業所が23.9%、「労働条件が明示されていない、抜けがあった」事業所は19.4%でした。1か月の残業時間・休日労働時間が80時間超という「過労死ライン」の労働者がいる事業所は24.1%、100時間超は14.3%でした。

このような若者をはじめ働く人々を過酷な労働に追い立て、もののように使い捨て.るブラック企業をなくしていくためには、法的に規制することが必要になっています。
1つめは、長時間労働を規制することです。年間の総残業時間を360時間以内に制限し、厚労省の過労死基準(月80時間以上の残業)を超えるような残業時間を可能にしている三六協定の特別条項を廃止すること、サービス残業には残業代を2倍程度にすること、EU諸国で法制化されている一日の勤務が終わったら次の出勤時間まで最低11時間の休息時間を保障することなど、長時間労働をなくしていくことが必要です。
2つめは、求職者・就活生に対して企業は労働条件や職場環境を正しく情報提供するしくみにすることです。過去3年間の採用数と離職者数、賃金形態(月給、日給、時間給等の区分)、基本給、定期的に支払われる手当、時間が手当、通勤手当、有給休暇の平均取得日数、昇級に関する事項等を明示すること、20代・30代・40代ごとの平均残業(時間外労働)時間、労働組合の有無、就職ナビ・フリーペーパーなどの求人広告の誇大宣伝・虚偽記載を規制することなどが必要です。また、求職者・就活生が就職を検討している企業が「ブラック企業」に該当するかどうかを問い合わせた場合、ハローワークなどの行政機関が、これに答えるしくみを作ることも必要です。
3つめは、パワーハラスメントを規制することです。厚労省は、パワハラ行為を行った企業に対して、指導、勧告を行い、勧告に従わない企業名を公表するようにこと、また、パワハラの是正を指導を労働局に求めた労働者に対して不利益な取り扱いをすることを禁止する措置をとることも必要です。

厚労省は、ブラック企業の調査だけでなく、法的な規制を進めていくことが求められています。

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