憲法といま

きょうは憲法記念日。

昨日の『朝日新聞』朝刊に憲法学者樋口陽一さんのインタビュー記事「戦時世代が語る憲法といま」が掲載されていました。

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『朝日新聞』2012年5月2日付朝刊

大震災、原発事故、決められない政治。社会に行き詰まりを感じるなかで、憲法が障害だという意見が出され、4月28日には自由民主党が改憲案を発表しています。

樋口さんは、大震災そして原発事故という大きな試練と合わせ、一度、戦後の出発点に立ち返って考える時期だとしています。日本国憲法を「押しつけだ」と非難する人たちがいますが、それは違う、といいます。自由民権運動や大正デモクラシーといった、幕末・明治以来の日本社会の「持ち物」とつながっていること、近代国家における憲法とは、国民が権力の側を縛るもので、権力の側が国民に行動や価値観を指示するものではないこと、憲法によって国家権力を縛るという「立憲主義」の考え方は、明治憲法を作成した伊藤博文も理解していたこと、3・11の天災・人災と生活格差が覆ういま、11条の「基本的人権」や13条の「幸福追求の権利」、そして25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」といった日本国憲法がもっている理念を、次世代に引き継がなければいけないことを説いています。
樋口さんは、世界には、日本国憲法よりはるかに古い憲法をいまも使っている国があるとし、アメリカは1788年に成立した合衆国憲法、1776年の独立宣言が現役であり、フランスでは1789年の人権宣言が現行法であり、彼らには、そうしたものを度外視して憲法草案をつくるという発想はないと述べ、憲法を作り直すならば、自分たちの歴史に向き合い、論議することの必要性を説かれています。

このインタビュー記事の内容は、樋口さんの著書『いま、憲法は「時代遅れ」か』(平凡社、2011年)で詳しく論じられています。

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自民党が9条の「改正」や非常事態条項を含む改憲案を発表し、橋下徹大阪市長の率いる大阪維新の会も首相公選制や一院制などの改憲構想を発表するなど、「立憲主義」を否定し、日本近現代史から学ばないかたちで声高に改憲を主張しています。
樋口さんは、「日本国憲法が想定している人間像とは、1人ひとりが自分自身の主人公であり、主人持ちではいけない」ということであり、「誰かがではなく、自分で自分のことを決める」ことた、と述べています。
樋口さんの言葉をかみしめ、憲法の理念を実現していく努力を私たち1人ひとりがおこなっていくこが、いま求められていると思っています。

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