『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』を読む

大学のキャリアセンターで学生のキャリア支援に携わっている沢田健太さんの『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』(ソフトバンク新書、2011年)を読みました。

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1999年に立命館大学が初めてキャリアセンターを設立し、フリーター問題がマスコミで社会問題視されるようになると、2003年頃から各大学で就職部・課はキャリアセンターに変わっていきました。

沢田さんは、「キャリアセンターはさまざまなプログラムを通して、学生が卒業後の進路や生き方を考えられる機会を提供し、彼らが大学での学びを再構築していけるように支援することが求められている。/就職(活動)は、学生にとっては大きな関心事ではあるが、低学年次から採用試験対策(筆記試験や面接への準備)のような講座をキャ理卯センターが積極的に行うことは、マニュアル依存の学生を世に送り出すことにもつながりうる。それよりは、学生が一般教養科目や専門科目、あるいはゼミ活動などを通して、世の中の流れを知り、変化する社会のなかで私たちはどのように生きていくのか、をかんがえさせる方が意義深い。/学内において、もっとも学外との接点が多いキャリアセンターだからこそ、多様な学問と密接に絡み合いながら、学生がそれらを学ぶ社会的意義を見いだせるように、気づきを与えていくことが、教育機関の一員としての基本姿勢であると思う」と、まっとうな意見を述べられています。
そして、多くのキャリアセンターが、キャリア形成支援を元リクルート社員が立ち上げた人事コンサルタント会社のような業者に丸投げし、問題だらけの企業社会に「適応」するようなキャリア教育をおこなっている現状を批判しています。

また、「就職率」、「就職実績」の”操作”事情についてふれています。
就職決定率について、分母は全卒業生数から「進学者」と「留学者」と「就職を希望しない者」を引いた数とすべきなのに、それだと分母が大きくなるので「進路不明者」や状況不明者(回答未収)も引いて計算し、就職率が高くなるように操作をしていることを明らかにしています。その結果、文科省と厚労省が合同で出している「大学等卒業者の就職内定状況調査」は、平成23年3月卒業生は91.1%と高い数字になっており、全大学ならしての実際の就職決定率は約6割、というのが大学キャリアセンターの中の人々の共通認識であるとしています。
就職実績については、全国的に知名度があるとはいえない大学では、実際の就職率は惨憺たる状態であるため、公表すらしていない場合が多く、そのかわりに、就職関連ページを「就職先の割合」と「就職実績」の文字で埋めているとしています。具体的には、学部ごとに、どんな業界へ就職したかの円グラフを描き、「最近5年間の実績」などと言った断りもなく、有名企業の名前を列記する大学も少なくないとしています。

このように「キャリアセンターの事情」が紹介され、いまのキャリアセンターにはさまざまな問題点があることを指摘しています。
就活まっただ中の大学生だけでなく、親、そして大学や高校のキャリア教育関係者にもぜひ読んでいただきたい思っています。

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