男性の育休

『朝日新聞』11月4日付朝刊に「組織のトップ 育休で学ぶ」「イクメン社長・首長続々」という見出しで、東京の文京区長や広島県知事など、会社や行政などの組織のトップに立つ男性が育児休暇を取得していることについて、休んでみて気づいたことなどを取材した記事が出ていました。

その一人、NPO法人「フローレンス」代表の駒崎博樹さんの場合、「ワーク・ライフ・バランス」を掲げて社内で「働き方革命」を進めてきたことから、長女の誕生を機に2か月間の育休に入り、自分がいないと組織はまわらないと考えていたが、職員に仕事を任せことで、「任せれば人は育つ」ことに気づいたことが紹介されています。

組織のトップが男性が育休を取ることに理解を示さない限り、実際には一般の男性が育休を取るのは極めて難しいのが日本の現実です。女性が取ることでさえ、快く思わない管理職が多いのも否定できない現状ですから。
組織のトップの育休を取りあげるのは、それなりの話題性があるからだと思いますが、もっと一般の女性や男性が育休を取りやすくすることについても、キャンペーンをすべきだと思います。

ところで、駒崎さん提案の「働き方革命」の中には、「経営者も定時勤務」があげられています。「仕事の優先順位を明確に。トップが定時退社すると、部下の残業時間も激減。」と説明されています。
これは、大事な視点だと思います。「ワーク・ライフ・バランス」がいわれるようになっても、年次有給休暇でさえ、なかなか取りにくいのが日本の組織です。日々の勤務でさえ、サービス残業が横行するように、長時間労働を余儀なくされているのが、日本の労働者の現状ですから。

私の関係した教育界もまったく同様です。
国民教育文化総合研究所の調査によれば、日本の教員の在学校時間は平均して1日11時間06分、週当たりの労働時間も約56時間となっています。在学校時間の最も少ないフィンランドでは、1日平均6時間16分、週当たり36時間46分です。学校では、授業や子どもの指導以外に、文書作成に多くの時間を割かれ、休憩や休暇が取りにくいこと、また、変化の激しい子ども・保護者や政策への対応に追われ、精神的に疲れ、病む教員も増えていることを指摘しています。(嶺井正也「授業準備と子どもに向き合う時間こそ 「教員の仕事と職場生活についての国際比較調査」から」)

日本の学校では「提灯学校」といわれるように、児童・生徒が帰ったあとも教員が学校に夜遅くまで残っているために煌々と明かりがついている様子を表現した言葉が、死語にはならず、いまも残っています。
私が勤務していた学校でも、できるだけ用事がない時は早めに帰るように促したものですが、それでも教材研究その他で残って仕事をしている教員が少なくありませんでした。ところが、私が退職してからは「提灯学校」が当然視されているようです。

「ワーク・ライフ・バランス」が実体を伴うようになり、男性もごく当たり前に育休が取れる社会になるのはいつのことになるのでしょうか。

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