三鷹の認可保育園でストライキ

民間企業が運営する三鷹市の認可保育園で保育士ら職員が3月26日、ストライキを行ったとの報道がありました(『朝日新聞』2020年3月27日朝刊)。

20200328.jpg朝日新聞』2020年3月27日朝刊

記事によれば、この保育園では、保育士ら10人以上が労働組合「介護・保育ユニオン」に加入し、「安心・安全な保育ができる人数がそろっていない」と企業側に人員補充などを求めて、団体交渉をしてきましたが、十分な回答が得られなかったとしています。ユニオン幹部は「人手不足で、いつ事故が起きてもおかしくない」と指摘し、保育士の一人も「切羽詰まったギリギリの状態で働いていると、体調を崩してしまう。保育士にとっても子どもにとっても良くない」と訴えています。保育士らはこの日、改めて企業側に人員補充などを紙面で要求しました。
三鷹市では、2月以降、園の労働争議について把握し、改めて時間ごとに詳しく園児数などを調べたところ、基準を満たしていない時間帯があったとして、企業側を指導したという。

三鷹市の認可保育園でストライキの予告があるとの話は、今野晴貴さん(NPO法人POSSE代表)が2月28日のYAHOOニュースで書かれた「三鷹市で「保育士一斉退職」の危機 「ストライキ予告」で退職回避を模索」(https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/2020228-00165098/)で知っていました。この保育園では、退職者が相次ぎ、精神疾患などで休職に追いやられている職員も数名いたということで、配置基準ぎりぎりの人数しか確保されていないため、子ども一人ひとりに目を配ることが難しくなっていたこと、過労死ラインの月約80時間に近い残業を強いられ、朝早い出勤のシフトである「早番」のできる保育士を十分に確保できておらず、配置基準違反の状態が頻繁に起きていたということです。

三鷹市には認可保育園が47園あります。そのうち市立は13園(うち4園は公設民営)、私立は34園で、うち民間企業が運営しているのが15園あり、最近は待機児童対策もあり、保育園は増えていますが、そのほとんどは民間企業からの参入です。私の家の直ぐ近くに出来た保育園も民間企業です。

待機時児童問題が深刻化する中で、保育所の増設を急ぐあまり、規制緩和が進み、小林美希さんの『ルポ保育格差』(岩波新書、2018年)が指摘しているように、保育格差は深刻化しています。子どもを預ける親の立場からすれば、どの保育所でも安心して子どもが預けられ、子どもが健やかに成長する場でなければなりません。福祉という観点からすれば、自治体が責任を持って保育所を確保し運営すべきなのが本来のあり方です。
保育士が不足しているといいながら、その処遇改善のための補助金も、保育士にはまわらず他に流用されていること、国の想定では、委託費の7~8割が人件費とされているにもかかわらず、保育者人件費率は、小林さんが独自集計した平均で、社会福祉法人は55.4%、株式会社は42.4%で、個々の保育所をみても人件費比率が際立って低いのが株式会社立の保育所となっています。ここには、人件費を切り詰め、保育士から「やりがい搾取」をしている実態が浮かびあがってきます。民間企業が運営する保育所がすべて「やりがい搾取」をしているとは思いたくありませんが、私たちはそうした実態があることを心しておく必要があります(「小林美希『ルポ保育格差』を読む」、https://yamatea.at.webry.info/201805/article_9.html)。

子どもを安心して預けられる保育園にするためには、保育士の処遇を改善するとともに、十分な人員を確保することが必要です。民間企業が保育園を運営するのであれば、利潤追求ではなく、福祉の観点に立って、運営することが社会的責任となります。
ストライキのあった保育園を運営する企業には、早急に保育士ら職員の要求に真摯に応え、市民が安心して預けられる保育園にすべきです。ストライキをした保育士ら職員を敵視し、退職に追い込むようなことはしてはなりません。
三鷹市の子ども育成課も、企業が配置基準を守って運営しているかをチェックして指導し、改善されないようであれば、保育園名を公表し、市民が安心して預けられるようにすべきです。

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