9割が留学生-全国101校の専門学校

文部科学省は4月26日、全国の私立専門学校の留学生受け入れ状況についての調査結果を公表しました。その調査結果によると、学生の9割以上を留学生が占める学校は101校あり、そのうち45校は全員が留学生で占められていました。(『朝日新聞』2019年4月27日朝刊)

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『朝日新聞』2019年4月27日朝刊

専門学校に入学する留学生は急増しており、とくに日本の高校生の進学が少ない語学・ビジネス系や福祉系などの学校では経営のために留学生を大量に受け入れています。しかし、大坂の日中文化芸術専門学校でベトナム人留学生等360人が退学していたことが発覚するなど(『毎日新聞』2018年9月27日朝刊)、教育環境や受入体制に問題をかかえていることが明るみにされています。

文科省は、こうした事態を受けて今年1月に調査をしたものです。それによると、昨年5月現在で私立の専門学校2610校、このうち留学生を受け入れている学校が871校でした。留学生の比率が5割以上の専門学校は195校、このうち9割以上の専門学校は東京の27校、千葉・神奈川の各8校、広島の7校など全国で101校にのぼり、そのうち東京の8校、広島の3校など45校は全員が留学生でした。

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文科省では、5月1日時点で留学生比率の高い専門学校の所在する都道府県に対して、当該校についてのより詳細な情報提供を求めるとしています。(文部科学省専修学校教育振興室「私立専門学校における理由学生の受入れ状況の把握に関する都道府県の取組についての調査結果とそれを踏まえた一層の取組について」2019年4月25日、http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1416308.htm

専門学校に留学生が急増した背景には、少子化による18歳人口が減少したこと、大学全入時代に入り、高校の進路指導が従来以上に大学進学に重点を置くようになったこと、社会的にもアカデミックな教育を上に、職業教育を下に見る風潮が根強いこともあり、高校新卒者の専門学校進学率も16%程度と横ばいにあることから、経営的に困難な学校は留学生の受け入れで生き残りを図っていることがあげられます。
専門学校の中には勉学に熱心な留学生がいる学校もあり、日本人の学生にもよい刺激を与えていることを知っています。留学生を受け入れる場合には、個人的には留学生の比率は5~10%程度が望ましいと考えています。

学生の半数以上が留学生で占められている学校は、日本の高校生にも評価されていない学校ということになり、その多くはアジア諸国で開いている留学生説明会でリクルートしたり、日本語学校と連携して学生集めをしています。
ところが日本語学校については、井上徹「日本語教育の危機とその構造-「1990年体制」の枠組みの中で」(一橋大学学位請求論文、2018年、http://doi.org/10.15057/30117)が明らかにしているように、 日本語能力試験「N1」「N2」の合格者数と専門学校・大学などへの進学者数が乖離しており、日本語学校卒業生の半数以上がN2の資格を持たず、専門学校などへ進学している実態があります。文科省の資料をもとに井上氏が分析したところ、日本語学校459校中366校が進学者数を公表していて、そのうちN1もしくはN2の合格者は2016年度で1万3538人、進学者は3万618人でした。つまり、半数以上がN2の資格を持たず、専門学校などへ進学しており、こうした進学者は就労を目的とした偽装留学生である可能性が強いと考えられています。(BLOGOS「8割以上の日本語学校は"偽装留学生"頼み」2019年4月23日、https://blogos.com/article/372740/

日本語学校の多くが偽装留学生を受け入れ、さらにN2を合格していない卒業生を専門学校が受け入れているとすれば、大きな問題です。留学という口実のもと、就労を目的に在留する学生を安易に受け入れることは、実践的な職業教育を行っている教育機関における学修を阻害するものであり、専門学校の社会的評価を低下させるものといえます。
専門学校の社会的信頼・信用を失墜させないようにするためにも、各専門学校は留学生の受け入れについては定員の10%程度の適正な数にとどめるとともに、在籍管理を徹底し、教育の質の確保に努めることが求められています。

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