日本部活動学会第1回大会

日本部活動学会第1回大会が3月25日、学習院大学で開かれ、参加してきました。

大学キャンパス内の桜はちょうど見頃になっていました。

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日本部活動学会は、昨年12月に設立されましたが、「部活動のこれまでとこれから」を大会テーマに、「理論的な解明の到達点と実践的な課題の広がりを明らかにし、部活動のこれからのあるべき姿について理論・実践両面から議論したい」という趣旨のもとに開催されたものです。

大会プログラムは、次の通りでした。
特別企画(公開講演会) 内田 良(名古屋大学)「部活動の日常を「見える化」する~持続可能なあり方を求めて~」
基調報告 長沼 豊(学習院大学)「これまでの部活動と部活動学会のこれから」
公開シンポジウム「どうなる?どうする?部活動!~理論と実践の往還を目指して~」
  コーディネーター;望月浩一郎(弁護士)
  パネラー; 神谷 拓(宮城教育大学)
         杉本 直樹(大阪市立中学校)
         妹尾 昌俊(文部科学省学校業務改善アドバイザー)

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内田さんの講演は、学校事故のリスク分析から研究を始め、柔道や組み体操の事故など学校の内側にあるリスクを「見える化」することに取り組んできたこと、部活動改革は現場の教員がツイッターなどで声を上げ始めたことから文科省を動かすまでになったが、職員室は「無風状態」にあり、教員がかわらないといけないこと、部活動は「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」もので教育課程外の活動であるが、生徒は部活加入を義務づけている中学校があり、教員も9割の中学校が全員顧問制で、制度設計なき教育活動となっていること、部活動は自主的だから過熱すること、文部省が1997年に出したガイドラインでも休養日の確保が提言されたが無視されたこと、などを述べ、部活動は「楽しい」「教育的意義がある」と「ブラック部活」への反論があるが、規制の中でその「教育的意義」を得ることはできないか、とし、資源制約(人、場所、カネ、時間など)に対しサービスが過大となっている現状を改革するには、総量規制(活動時間、日数、大会参加数の制限)、「居場所」の論理と「共創」の論理の明確な役割分担が必要であることを提起したものでした。部活動のあり方に関しては『ブラック部活動』(東洋館出版社、2017年)に書かれていた内容に沿った講演でした。

午後の公開シンポジウムは、研究者、教員、中教審委員というそれぞれの立場から部活動のあり方や改革の方向性について提案があったあと、フロアからの質問や意見を交えながら、部活動をめぐるさまざまな問題について意見交換したものでした。

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神谷さんは、本来、課外に部活動があることで、教科や教科外活動の経験を発展させることができ、生活場面で活きるような知識や行動を身につけ、学校がめざす人格形成に近づくことができるものであって、本来の部活動は教育課程の学びを深める場であるはずだ、と述べ、教科指導と教科外活動の往還関係をつくることで、学校の教育活動は豊かになり、部活動は教師の専門性が試される自主研修の場になる、と指摘しました。そのうえで、現状の部活動の多くは本来の位置づけから逸脱しているとし、推薦入試における競技成績の評価、対外試合・大会の多さ、教育課程と課外活動(部活動)をつなげる見通し・方法が示されてこなかったこと、教師の労働と課外活動の関係が曖昧であり、手当や人員の配置などの条件整備が不十分であったこと、こうした課題を解決する見通しが示されなければ、スポーツ庁のガイドラインは、教育現場を励ますことにはならない、と指摘しました。神谷さんは、部活動は子どもの権利を育む場であり、それには、生徒指導の場に限定して捉えるのではなく、集団を自分たちで創っていく、より良いものに変えていく生活指導の場として位置づけていく必要があると述べられましたが、こうした視点から部活動を位置づけることは、私自身してこなかっただけに、刺激的でした。

妹尾さんは、「学校の働き方改革の中での部活動改革-なぜ、長時間労働のままではマズイのか」(スライドは、https://www.slideshare.net/senoomasatoshi/180325bukatsu-senooを参照)をテーマに、教員の多くが過労死ラインを超えて働いており、教員の長時間労働が、心身ともに疲れ、うつや過労死となったり、授業準備自己研鑽の時間が減り、子どもに向き合えないなど、さまざまな影響をもたらしていること、活動にはさまざまな教育効果があるだろうが、教師は時間に追われ、授業準備さえままならない現状を放置できないこと、などを指摘したうえで、中教審の学校における働き方改革の中間まとめやスポーツ庁のガイドラインをまとめたさいの議論を紹介しました。

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意見交換では、スポーツ庁のガイドラインに示された休養日や活動時間などが遵守される担保はあるのか、活動時間に対する医学的ないしスポーツ科学的見地はあるのか、長時間活動を望む子どもの権利をどう考、部活動の目的・あり方とは何か、部活動の運営方法はどうあるべきか、部活動と指導者の専門性をどう考えるか、ガイドラインの小学校・大学、私立学校への適用、実施方法はどのようにすべきか、地域スポーツとの融合をどう考えるか、など部活動をめぐるさまざまな課題について意見が出されました。

妹尾さんは、部活動問題は変数がたくさんある方程式のようなものだと語っていましたが、子どもの成長や生活、キャリア形成など子どもの視点、学校教育における部活動の位置づけ、指導方法、労働問題など教員の視点、外部指導者、地域、社会教育との関係、法整備やガイドライン、給特法など国・自治体の視点など多角的な視点から、部活動のあり方を総合的に分析・考察し、議論を深めていくことが、確かに必要になっていると感じました。

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