「年金カット法案」強行採決
公的年金の支給額を引き下げる新しいルールを盛り込んだ年金制度改革法案は11月25日、衆議院厚生労働委員会で、自民・公明・日本維新の会による強行採決で可決されました。
『朝日新聞』2016年11月26日朝刊
政府は、不況で2000~02年度に物価が下がったときに、年金の支給額を自動的に減額する「物価スライド」を凍結。「特例水準」として、年金支給額を据え置いてきました。それが、10年以上もたってから「もらいすぎ年金」だとして、政府は2013年から3年間で年金額を計2.5%引き下げました。
その上に今度の「年金カット法案」では、支給額が増える局面では、2004年導入された「マクロ経済スライド」の増加幅を抑える仕組みを強化し、18年度からは支給額が増える際に増加幅を1%程度ずつ自動的に目減りさせるものを、物価や賃金が下がれば適用しないが、景気回復期にまとめて減額すること、また、21年度からは年金の支給額を、現役世代の賃金が下がった場合にも減額し、物価も賃金も下がった場合はより下がった率で減額するというものです。
井坂信彦衆院議員(民進党)の試算によると、「新ルールを過去10年間に適用したと仮定した場合、5.2%の年金が減少するという。これは、国民年金で年間約4万円の減額、厚生年金の標準モデル(14年度は夫婦2人で月額22万6925円)の場合は、年間約14万2千円の減額となる。つまり、年金受給額が高くなるほど、減額も大きくなる」としています。
しかも、安倍政権が「年金改革の目玉」として実施した公的年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)改革は、散々な結果となっています。
GPIFは、政府の意向を受けて2014年10月に基本ポートフォリオ(運用比率)を変更。国内債券の比率を60%から35%に引き下げ、相対的にリスクの高い国内株式や外国株式への投資を増やしました。その結果、15年度は約5兆3千億円の損失を出し、16年4~6月期も約5兆2千億円の赤字だとなりました。GPIFの運用失敗が、将来の年金額にどのような影響を与えるかについて国会で質問した玉木雄一郎衆院議員(民進党)は、こう話しています。
「安倍首相は、今年2月15日の衆院予算委員会で、運用利益が出ないのであれば、『当然支払いに影響してくる』と答弁しました。こんなことが起こるのも、政府が過大な経済成長と、過大な賃金上昇を見込んで制度設計をしているからです。誤った成長見通しは、結局は国民にしわ寄せが来ることになるのです」(週刊朝日、https://dot.asahi.com/wa/2016111100109.html)
https://twitter.com/tamakiyuichiro
安倍首相は11月25日の委員会で、「強行採決は行わないことを約束を」と求めた野党議員の質問に対して、「私が述べたことをまったくご理解いただいていないようであれば、こんな議論を何時間やっても同じですよ」と言い放ちました。「年金カット法案」が、将来にわたって持続可能な年金制度を保つために必要だというのであれば、年金がどのくらい減るのか、減らしても高齢者は生活できるのか、国民が高齢になったときでも安心して生活できる年金の仕組みであることを懇切丁寧に説明することが必要です。それをせずに強行採決とは言語道断です。
NPO法人ほっとプラス代表理事で、『下流老人』の著者として知られる藤田孝典さんは、厚生労働委員会の参考人質疑で反対の立場を表明しましたが、Twitterでも、「いま国会審議中の『年金カット法案』は『下流老人増加法案』というべき。資料をもらい、その影響を検討したが、厚生労働省もまともな説明ができていない。法案を通してはいけない。高齢者の自殺や心中など、死者がさらに出るぞ。」「生活が苦しい高齢者も含めて、財源がないから『若者にツケを回さない』ためにさらに年金カットし続けるそうだ。野蛮すぎる。何も若者のことなど考えていない大人たちが都合がよいときだけ使う。なぜみんなを救うために必要な財源を確保する議論にならない。」(11月15日)、「年金下げて各種保険料や税を引き上げたら生活保護増えるのは当たり前。長寿化しているから預貯金ももたない。現役世代の所得も上がらないから親を助けられない。さらに最悪なのは、この状況で、生活保護を適用し、救済がなされている高齢者がほんの一部だということ。生活保護さえ機能していない。」「非正規雇用者がシングルのまま老後に突入すると、老齢基礎年金だけではとても暮らしていけません(そもそも、公的年金だけで老後の暮らしが成り立つような制度設計にはなっていない)。つまり、非正規雇用の国民年金住民税、軽自動車税などは上がり続けてい組は、下流老人予備軍なのです。」(11月16日)と述べ、この法案は「下流老人増加法案」だと指摘しています(https://twitter.com/fujitatakanori?lang=ja)。
年金がカットされる一方で、国民健康保険料、介護保険料、住民税などは上がり続けています。これでは、もともと老齢基礎年金だけでは生活できないという制度設計になっている上に、生活保護さえパッシングで受給が困難な状況が続けば、生活破綻をする高齢者が多くなることは目に見えています。この「年金カット法案」の成立を許してはなりません。
『朝日新聞』2016年11月26日朝刊
政府は、不況で2000~02年度に物価が下がったときに、年金の支給額を自動的に減額する「物価スライド」を凍結。「特例水準」として、年金支給額を据え置いてきました。それが、10年以上もたってから「もらいすぎ年金」だとして、政府は2013年から3年間で年金額を計2.5%引き下げました。
その上に今度の「年金カット法案」では、支給額が増える局面では、2004年導入された「マクロ経済スライド」の増加幅を抑える仕組みを強化し、18年度からは支給額が増える際に増加幅を1%程度ずつ自動的に目減りさせるものを、物価や賃金が下がれば適用しないが、景気回復期にまとめて減額すること、また、21年度からは年金の支給額を、現役世代の賃金が下がった場合にも減額し、物価も賃金も下がった場合はより下がった率で減額するというものです。
井坂信彦衆院議員(民進党)の試算によると、「新ルールを過去10年間に適用したと仮定した場合、5.2%の年金が減少するという。これは、国民年金で年間約4万円の減額、厚生年金の標準モデル(14年度は夫婦2人で月額22万6925円)の場合は、年間約14万2千円の減額となる。つまり、年金受給額が高くなるほど、減額も大きくなる」としています。
しかも、安倍政権が「年金改革の目玉」として実施した公的年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)改革は、散々な結果となっています。
GPIFは、政府の意向を受けて2014年10月に基本ポートフォリオ(運用比率)を変更。国内債券の比率を60%から35%に引き下げ、相対的にリスクの高い国内株式や外国株式への投資を増やしました。その結果、15年度は約5兆3千億円の損失を出し、16年4~6月期も約5兆2千億円の赤字だとなりました。GPIFの運用失敗が、将来の年金額にどのような影響を与えるかについて国会で質問した玉木雄一郎衆院議員(民進党)は、こう話しています。
「安倍首相は、今年2月15日の衆院予算委員会で、運用利益が出ないのであれば、『当然支払いに影響してくる』と答弁しました。こんなことが起こるのも、政府が過大な経済成長と、過大な賃金上昇を見込んで制度設計をしているからです。誤った成長見通しは、結局は国民にしわ寄せが来ることになるのです」(週刊朝日、https://dot.asahi.com/wa/2016111100109.html)
https://twitter.com/tamakiyuichiro
安倍首相は11月25日の委員会で、「強行採決は行わないことを約束を」と求めた野党議員の質問に対して、「私が述べたことをまったくご理解いただいていないようであれば、こんな議論を何時間やっても同じですよ」と言い放ちました。「年金カット法案」が、将来にわたって持続可能な年金制度を保つために必要だというのであれば、年金がどのくらい減るのか、減らしても高齢者は生活できるのか、国民が高齢になったときでも安心して生活できる年金の仕組みであることを懇切丁寧に説明することが必要です。それをせずに強行採決とは言語道断です。
NPO法人ほっとプラス代表理事で、『下流老人』の著者として知られる藤田孝典さんは、厚生労働委員会の参考人質疑で反対の立場を表明しましたが、Twitterでも、「いま国会審議中の『年金カット法案』は『下流老人増加法案』というべき。資料をもらい、その影響を検討したが、厚生労働省もまともな説明ができていない。法案を通してはいけない。高齢者の自殺や心中など、死者がさらに出るぞ。」「生活が苦しい高齢者も含めて、財源がないから『若者にツケを回さない』ためにさらに年金カットし続けるそうだ。野蛮すぎる。何も若者のことなど考えていない大人たちが都合がよいときだけ使う。なぜみんなを救うために必要な財源を確保する議論にならない。」(11月15日)、「年金下げて各種保険料や税を引き上げたら生活保護増えるのは当たり前。長寿化しているから預貯金ももたない。現役世代の所得も上がらないから親を助けられない。さらに最悪なのは、この状況で、生活保護を適用し、救済がなされている高齢者がほんの一部だということ。生活保護さえ機能していない。」「非正規雇用者がシングルのまま老後に突入すると、老齢基礎年金だけではとても暮らしていけません(そもそも、公的年金だけで老後の暮らしが成り立つような制度設計にはなっていない)。つまり、非正規雇用の国民年金住民税、軽自動車税などは上がり続けてい組は、下流老人予備軍なのです。」(11月16日)と述べ、この法案は「下流老人増加法案」だと指摘しています(https://twitter.com/fujitatakanori?lang=ja)。
年金がカットされる一方で、国民健康保険料、介護保険料、住民税などは上がり続けています。これでは、もともと老齢基礎年金だけでは生活できないという制度設計になっている上に、生活保護さえパッシングで受給が困難な状況が続けば、生活破綻をする高齢者が多くなることは目に見えています。この「年金カット法案」の成立を許してはなりません。


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