公表されない放射性物質拡散予測

『読売新聞』4月5日付朝刊によれば、枝野幸男官房長官は4日、福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していなかった問題で、気象庁に公開を指示したということです。
すでにオーストリアやドイツの気象機関は、観測した風向きなどのデータにもとづき独自に拡散を予報し、サイトで公表しています。

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放射性物質の拡散予測(4月5日午後9時を想定、ドイツ気象局HP、YOMIURI ONLINE 4月4日より)

日本には原子力事故時に放射性物質の飛散予測を行う「SPEEDI(スピーディ)」というシステムがありますが、このデータもほとんど公表されていません。原子力安全委員会は、専門家からの批判が集中したので、震災から2週間経った3月23日になって、ようやくデータの公表をしただけです。
その結果では、北西と南側を中心に原発から30キロを超える地域でも100ミリシーベルトを超える被曝量であることがわかっています。

気象庁のシミュレーションシステムも、文部科学省のSPEEDIも、データを公表していないことについては、表紙が不安を煽るとネットで騒がれた『AERA』3月28日号が、放射能拡散予測をIAEAには詳細報告しているのに、国民には「データ隠蔽」をしている、と批判をしています。

東京電力は4日、低濃度汚染水の海への放出を始めました。

また、ホウレンソウや牛乳、水道水だけでなく、茨城県沖でとれたコウナゴから1キロあたり4080ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたことも明らかになっています。「数回食べた程度では健康には問題がない値」ということですが、事態はより深刻になってきていると考えた方がよさそうです。

矢ヶ崎克馬さん(琉球大学名誉教授)は、食品の汚染が報道されているが、空気の汚染が広範に広がり、「直ちに…」のまやかしのうちに国民の被爆被害は拡大している、と指摘し、とくに内部被曝の危険性について正しい認識を持つことを説いて、次のように訴えています(いわき市議会議員・佐藤かずよしブログ「風のたより」2011年3月31日)。

「今、端的に言って、日本のどこにいても汚染は避けられません。汚染から精神的に逃げていれば、被災地救援や日常生活にも、『恐怖』は足かせになります。政府の『安全』、あるいは『直ちには健康に影響はない』という不誠実極まりない『安全神話』に載せられば、しばらくしてから現れるとんでもない悲劇が待っています。
みなさん、開き直って楽天的になり、支え合って、最大防護を致しましょう。やるべきことはぜんぶやって、危機を脱出しましょう。救援も生活もやるべきことは全部やって、切り抜けましょう。
正しい知識を獲得することが大切です。心構えは、『みんなで支え合う大きな利己主義』を持ちましょう。
テレビで流されているような、『汚染されたホウレンソウを一年分食べても平気です。』等という蛮勇は、無知であり人間を大切にする思想に欠けたものです。正しい知識を持ち、勇気を持って、賢く人間愛に基づく判断を致しましょう。」

正しい現状を把握するためにも、政府は直ちに、放射性物質の拡散予測のデータを公表すべきです。

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