「学校は会社ではない!」

『週刊金曜日』通巻第836号(2011年2月25日号)で「学校は会社ではない!」という特集が組まれていました。
特集は、渋井哲也「企業の関与で流動化する私立高校」、瀬下美和「経営管理と競争主義で”もしドラ”化する都立高校」、そして尾木直樹さん(教育評論家・法政大学)へのインタビュー「”尾木ママ”減少は人々の『安心』求める心が原動力」の3本からなります。

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ここでは、渋井氏の論考について、触れておきたいと思います。

渋井氏は、コンサルタント会社や予備校が私立高校に関与するのは、教育を「サービス業」とみなす現状があるからだとし、顧客である生徒が満足するように教師が最高の授業を提供することが学校改革の本質であるとするコンサルタント会社を経営し複数の高校とコンサルタント契約をしているI氏の考え方を紹介しています。また、大学進学の実績を上げ、偏差値を上げることにより生き残りを図る私立高校が予備校から講師が派遣されている実態を明らかにしています。

また、渋井氏は、この論考の中で、2003年、ワタミフードサービス社長で今度、都知事選に立候補を表明している渡邉美樹が郁文館高校の理事長になり、教員や生徒に対して「PDCAサイクル」という品質管理の概念を要求し、企業的な発想を教育現場に導入したこと、校長となった小林節慶応大学教授が2年後、「教育理念が合わない」として郁文館を離れたこと、そして現在、桜華女学院の校長となった小林校長を取材し、「本当の教育は、生徒が勉強が好きになり、自分で勉強するようになること」と話し、正攻法の教育を目指していること、「特進」などの上位コースを設けることに反対し、その結果、偏差値も上がり、「青学や上智の合格者が出た」と、その成果を強調していることを紹介しています。

教育の現場に企業的な考え方、ビジネスの手法が次々に導入されていることは事実です。義務化された学校評価も「PDCAサイクル」の手法により教育活動の改善を図るというものです。
しかし、学校は、教育が「商品」で、生徒や保護者が「顧客」、校長が「社長」、教員は「社員」という企業の論理で行われるものではありません。
学校は、生徒によりよい教育をしていくという点ではサービスという側面もないわけではありませんが、学校は学校を構成する生徒・保護者・教員が協同して学校改革に取り組む中で、生徒が学び、成長し、その学校の教育活動が改善されていくことの方が大事です。生徒はたんなる顧客ではなく学校を構成する主体でもあることを忘れてはいけないと思っています。

「本当の教育は、生徒が勉強が好きになり、自分で勉強するようになること」という小林校長の言葉は、その通りだと思います。
しかし、校長に就任して実質半年で難関大学に合格者を出したという成果を強調されたということですが、「生徒が勉強が好きになり、自分で勉強するようになる」ために具体的に桜華女学院でどのような学校経営が行われ、教育活動の取り組みがおこなわれてきたのでしょうか。校長が、授業中に生徒の前で教員の教え方に叱責をするようなやり方で、ほんとうに「生徒が勉強が好き」になっていくとも思えません。また特進クラスや予備校からの講師派遣はなかったということですが、上智・青山学院に合格した生徒のクラスは、1年次から成績の良い生徒を集めた特進クラスであり、1年次から予備校からの講師派遣による受験講習も行われてきました。校長となった4月以降も、ある予備校講師派遣の業者と契約を結んでいたはずですから(前年度に契約をしているので、4月以降契約を破棄したのなら別ですが)、大学受験のために予備校を活用していたと思われます。それにもかかわらず校長が、渋井氏に特進クラスや予備校からの講師派遣はなかったと説明したのか、よく分からないところがあります。

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