学術会議の6人任命拒否の撤回を

11月6日まで4日間にわたる衆参両院の予算委員会は終わりましたが、そこでは日本学術会議の新会員任命拒否問題が最大の論戦テーマとなりました。菅首相は、会員候補105人のうち6人の任命を拒否した理由を「個別の人事に関することなのでお答えは差し控える」とかたくなに説明せず、任命を拒否できる法的根拠も不明確なままに終わりました。これでは、政権の意に添わない人達を排除することにより、学問の世界に影響力を及ぼそうとしたのではないかという疑念は解消されませんでした。

菅首相が6人の会員候補の任命を拒否したことについては、言葉を重ねるたびに矛盾や新たな疑問が生じました。
当初は「総合的、俯瞰的活動」が理由だとし、その後、大学や年齢などに偏りがあるとし「多様性」の確保を理由に挙げました。しかし、この6人の排除が「多様性」に逆行するものだと指摘されると、「今回の判断には直結していない」言い訳をし、さらには「国民・国会に責任が負えない場合」という新たな基準さえ持ち出しました。学術会議側が法の要件に基づいて推薦した科学者を任命することが「国民・国会に責任を負えないさんは場合」にあてはまるとは考えられません。しかも拒否された加藤陽子さんは現在も政府の委員を務めており、一方で公的な役割を果たしている人が、もう一方では拒否されるのでは、支離滅裂としか言いようがないものです。

政府はこれまで、学術会議の独立性を尊重し、首相の任命は形式的なものであって、学術会議の推薦をそのまま受け入れると、国会などで説明してきました。これは、1983年に会員の選考方式を選挙制から推薦制に法改正をするときの国会審議で、当時の中曽根首相や担当閣僚らが、首相の任命は「形式的にすぎない」という答弁を繰り返してきました。2004年の法改正のときにも総務省は、「学術会議の推薦候補を首相が任命拒否することは想定されていない」と法改正にともなう説明資料に明記していました。
首相の任命拒否の根拠について菅首相は、学術会議の推薦通りに必ず任命しなければならないわけではなく、それは「内閣法制局の了解を得た、政府の一貫した考え方」だと強調しました。しかし、この解釈を記した文書がつくられたのは、わずか2年前の2018年のことで、内閣府が内閣法制局と協議してまとめた内部文書です。会員選考が選挙制から推薦制に変わった83年当時から続くものだと主張するが、それを裏付ける記録や文書を政府は示せなしいままにいます。
しかも、2年前の文書は、当時学術会議会長だった山極寿一・京都大前総長には示されていません。加藤官房長官は口頭で報告したと答弁していますが、当の山極氏は「覚えはない」と述べており、政府がこっそりと、勝手に法解釈を変更したとするならば、国会審議を無意味にするもので、クーデターのような暴挙と言えます。

また、菅首相は、2017年の改選のときには、学術会議が候補者を推薦する前に、政府との間で事前協議を行ったことを明らかにし、今回の改選では事前協議がなく「推薦前の調整が働かず、結果として任命に至らなかった者が生じた」とも言い出しました。学術会議の独立性に対する政治介入の意図を認めたも同然の答弁で、これも見過ごすことが出来ない発言です。

さらに、6人を除外する人選が、首相ではなく杉田官房副長官を中心に進められたことも明らかとなりました。菅首相は質疑で、当初の105人の推薦リストを見ておらず、拒否した6人のうち5人の名前や業績も知らなかったことを認めました。そして、杉田副長官が最終的に任命した99人のリストを作成する前、会員構成の偏りなど首相の問題意識を踏まえ、内閣府と協議していたことが明らかになり、内閣府との協議内容を記録した内部文書が存在することも明らかになりました。

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そしてきょうの新聞記事よれば、「首相官邸が日本学術会議の会員任命拒否問題で、会員候補6人が安全保障政策などを巡る政府方針への反対運動を先導する事態を懸念し、任命を見送る判断をしていた」ことを政府関係者が明らかにしたことを報じています(『東京新聞』2020年11月8日朝刊)。これが事実であれば、菅首相は虚偽答弁をしていたことになり、政府による恣意的な人事介入であることをはっきり示しています。思想・信条の自由、学問の自由を蹂躙するものであり、菅首相は直ちに辞職すべき事態といえます。

菅首相は、百歩譲っても、まずは潔く過ちを認めて謝罪し、6人の任命拒否を撤回することから始めるしかありません。説得力のない答弁を繰り返している場合ではありません。学術会議のあり方について、今後議論したいというなら、信頼関係を築きなおした上でおこなうしかありません。

この記事へのコメント

2020年11月08日 17:22
偉大学者
2020年11月08日 17:58
日本学者
2020年11月08日 18:02
2020年11月08日 18:04
解体されようとしている組織に任命もへったくれもない。
2020年11月08日 20:24
こんな頭のおかしいやつの記事は燃やしてしまおう。
まぁ
2020年11月09日 01:00
まずは当たり前のことを当たり前にできる政治を取り戻してほしい。
ここに限った話ではありませんが、異様なこめをコメントに違和感しか感じません。
六名の任命拒否撤回は当たり前のことです。
ルボーノ
2020年11月09日 03:23
百歩どころか一歩も譲れません❗️ 日本の為即退陣を‼️
アンチ自民
2020年11月09日 11:40
スガは早く総理やめろ。
野党に政権交代してしまえ。