安倍首相の辞任表明に思う

8月28日、安倍首相は持病の悪化を理由に退陣の意向を表明しました。
憲政史上最長の在任日数を記録して間もなく、あっけない幕切れとなりました。

第1次政権のときも持病の悪化で辞任し、今回も同じ理由での辞任表明でした。

hApsDmNa.jpgロイター(jp.reuters.com)より

安倍首相は、「戦後レジュームからの脱却」を謳い、憲法「改正」を掲げ、衆参両院で3分の2の議席を獲得したものの、改憲を実現することなく
道半ばで辞任することになりました。
教員であった私としては、第1次政権の時に教育基本法の「改正」を許してしまったことは悔しい思いをしましたが、ともかく改憲を実現させなかったことは、世論の力もあり、良かったと思っています。これからも自公政権の改憲の動きに注意していく必要があります。

第2次政権は長期政権であったにも関わらず、国民にとってよいことはほとんどなかったといっても過言ではありません。

安倍首相の長期支配の土台となった「アベノミクス」は、異次元と呼ばれる大規模な金融緩和と日銀による大量の国債買い入れ、そして大規模な公共事業投資により、市場に大量の金を放出し、経済を活性化させるという経済成長戦略でした。日銀、政府の資金を投入して株価を維持し、また、失業率の低さと有効求人倍率の高さを誇り、雇用が安定し生活が向上していて、好景気が続いているかのように「みせかけ」たものでした。実際には、非正規雇用が増え、国民の実質賃金は年々減少し、さらに2度にわたる消費税の増税で、経済格差は拡大するばかりで、子どもの貧困化が進み、6人に1人が「貧困」な状態に置かれています。

日米軍事同盟の一体化も進み、集団自衛権を認める安保法制が成立し、国民生活の困難化を省みず、トランプ政権の言いなりになって、兵器を爆買いしています。

また、森友問題、加計問題、桜を見る会の問題では、政権による私物化が進むとともに、公文書の隠ぺい、改ざんなど、民主主義の土台を破壊することが公然と行われました。
最近では、野党の臨時国会開催の要求に対しても、憲法違反を平気で行い、国会開催を拒否しています。

新型コロナの問題でも、新自由主義改革による保健所の削減をはじめ公衆衛生体制の弱体化が進み、少しの感染者拡大で医療崩壊を招くことがあらわになり、コロナ対策も後手後手に回り、ほとんど有効な手立てをたてられないままになっています。そして「やってる感」を出すために突如、全国一斉休校を要請したり、アベノマスクを全世帯に配布するという「愚策」を行ったことは記憶に新しいところです。

このような安倍政権を許してきた背景には、1990年代後半以降のグローバル化が進み、経済格差の拡大が進むという日本社会の大きな変化に対応する、自民党政治に変わる新しい政治がつくれなかったことにあると思っています。

しかし、この間、集団自衛権を認める安保法制に反対する若者が立ち上がり、市民、野党との連携が進み、昨年の参議院選挙での市民連合、共産党を含む野党共闘が一定の成果を上げ、国会での野党共闘も積み重ねられるようになりました。
こうした中、立憲民主・国民民主立憲民主・国民民主両党が「命と暮らしを守る」という新しい社会民主主義的綱領の下で合同新党が結成されようとしています。新自由主義的理念ではなく、新型コロナ危機という新しい状況に対応する理念のもとに結党されるもので、共産党とそれ外のリベラルとの歴史的対立が克服されるならば、新たな政治勢力による新しい政治を進めていく可能性がたかまるのではないかと思っています。

安倍政権が日本の政治と社会にもたらしたものがなんであったのかを、きちんと総括する必要があります。そして新型コロナという危機の中で新しい社会像を提示し、市民と連携した野党勢力が支持を拡げることができれば、世の中は変わっていくものと期待しています。

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