法政大学キャリアデザイン学部シンポジウム

法政大学キャリアデザイン学部シンポジウムが11月8日、法政大学であり、参加してきました。

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シンポジウムのテーマは「市民的進路保障としての労働法教育-どうすれば高校で拡がるか-」。

このシンポジウムは、労働法教育は劣悪な働かせ方から身を守るということだけでなく、市民として自由に堂々と生きる術と自信を養うというより積極的なものがあるという考えに立ち、生徒たちが、未来で羽ばたけるようエンパワーしたい、この「市民的進路保障」は、どうすれば高校で拡げることができるのか、という問題意識から開かれたものです。

シンポジウムでは、3人の報告のあと、報告に対するフロアーからの質問に答えるかたちで進められました。
1.児美川孝一郎(法政大学教授) 「「『はたらく』へのトビラ」の作成に携わって」
2.小関香苗(藍司法書士事務所長) 「高校出前授業における創意工夫と『注文』」
3.鈴木隆弘(高千穂大学教授) 「新教科『公共』どう実践するか」

児美川さんは、厚労省が作成した「『はたらく』へのトビラ」(2017年)の作成協力者に関わった経験をもとに、労働法教育の必要性を訴えるだけでは高校現場に拡がらないことから、授業で取りあげてもらえるように、誰にでも、すぐにでも出来る「授業案」を提供しようというコンセプトで作成されたのが「トビラ」であること、労働法教育は少しずつ広がってはきたが、現状は個々の教員任せで、組織的な取り組みにはなっていないことを指摘されました。そして、学校教育の本来の役割が、「よき職業人の育成」と「よき市民の育成」であるとすれば、その結節点にあるのが労働法教育ではないかと締めくくりました。

小関さんは、司法書士の立場から、高校へ法律教室の出前授業に携わった経験から、教員と外部講師がどのようにコラボしていったら、生徒が楽しく学び心に残る授業になるかを話されました。

鈴木さんは、新しい教科「公共」の目標を説明したうえで、生徒に近づいた「主題」の設定がカギになるとし、複数の項目を組み合わせて主題を設定することを、「労働からみた経済」を例に提案され、教員には、働きたくなるような社会をつくる責任、今を生きる力を育てる責任があり、労働社会の変化、変容を志向する授業実践が求められているとし、市民的進路保障とは「ディセントワーク」が保障されてはじめて実現するのではないかと報告されました。

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質問の中では、労働法教育が高校現場で広がらない要因は何なのか、主体的に公共的な空間をつくっていくための主体をどのように育成していったらよいのか、という点を中心に、各報告者から回答がなされました。

労働法教育については私も、現役時代に、総合学習の中でプログラムに組み込み、取り組みました。児美川さんが紹介された新谷威ほか編『中学・高校「働くルール」の学習』が出されたのは2005年ですが、2003年の全国進路指導研究会の大会で新谷さんが報告され、そのとき私もその発表を聴いてその必要性を認識し、翌2004年に総合学習で労働法教育の取り組みを始めた記憶があります。当時、全校的には神奈川県立田奈高校が吉田美穂さんを中心に取り組まれ、個々の教員が始めたものとしては千葉県立犢橋高校角谷信一さんが早い事例だと思います。
それから10数年経ち、労働法教育に取り組む高校は増えてきていますが、まだまだ学校として組織的に取り組んでいる事例は少なく、単発的に外部講師の出前授業出終わっている場合が多いように思っています。
これから始まる「公共」の授業をキャリア教育という視点も入れてどのように組み立てていくか、総合学習などを軸にどのようにキャリア教育に取り組むのか、そして三者協議会の取り組みをどのように構築していくのか(特別活動としての生徒会活動の活性化、シティズンシップ教育との関連も含めて)を結びつけて、取り組むことが必要になっているのではないか、とシンポジウムを聴きながら感じました。

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