映画「新聞記者」

東京新聞の望月衣塑子記者の『新聞記者』(角川新書、2017年)を原案にした映画「新聞記者」が6月28日から全国公開され、最近の日本映画では政治を扱う映画はほとんどない中で、新聞メディアが権力にどう対峙するのかを問いかけた映画として注目されています。

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第2次安倍政権以降、「世界の報道の自由度ランキング」(国境なき記者団)は年々下がり続け、2017年には67位とG7各国の中では最下位になっています。首相官邸はテレビの報道に公然と圧力をかけ「報道の自由」を侵し、新聞メディアも「権力の監視」というジャーナリズムの精神を放棄し、森友学園・加計学園問題などでも忖度に走る官僚たちを見過ごし、権力批判をしなくなっています。
こうした状況の下で、当たり障りのない質問しかしない内閣記者クラブの姿勢を問うかのように官邸に不都合な質問をし続けている望月記者の『新聞記者』に発想を得て映画化を進めたのがプロデューサーの河村光庸さんでした。

権力がひた隠す新大学設立の政権の闇に迫ろうとする一人の女性記者の「権力とメディア」の裏側、理想に燃えて公務員の道を選んだエリート官僚「組織と個人」の葛藤、そして女性記者と官僚とのせめぎ合いを描いた政治サスペンス映画ですが、全体を流れる重苦しい空気は今の日本の状況をあらしているようでした。

映画の最後で内閣情報調査室の室長が、新聞報道に対して「この国の民主主義は形だけでいいんだよ。」と国民を見下すようなセリフをはいていますが、しかし、それが今の日本の実態でもあると思いました。

21日は参議院選挙ですが、メディアの権力監視が薄まる中で、形だけの民主主義で甘んじていて良いのかが問われています。


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