模擬授業-校則と生徒指導

12月14日と18日は、依頼があり、二松学舎大学附属柏高校と都立東久留米総合高校で「生徒指導論-校則と生徒指導」をテーマに模擬授業をしてきました。

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生徒指導(生活指導)というと身だしなみなど校則を守らせることだと考えている生徒が少なくないことから、校則指導は重要な実践課題であっても、それが生徒指導の目的ではないこと、それでは生徒指導とは何かを校則指導を通して考えさせることを意図して授業を行いました。

用意したレジュメの項目は、次のようなものでした。
1.校則の「黒染め」規定から考える
2.校則の意義
 ・校則の教育的意義
 ・校則の根拠法令
3.校則裁判 
 ・丸刈り校則裁判
 ・修徳高校パーマ退学事件
 ・バイク禁止校則事件
4.校則を考える
 ・校則への批判
 ・子どもの権利条約
 ・校則の見直し
 ・ブラック校則
 ・より良い校則にするには

授業では、2017年に大阪の女子高生が、生まれつき茶色いのに学校から黒く染めるように強要され不登校に哉、精神的苦痛を受けたとして大阪府を訴えた訴訟を取りあげ、この「黒染め」規定について、「A.学校が決めた校則だから生徒は守らないといけない B.この校則はおかしいから、従わなくてもよい」のどちらの意見かを理由も考えてまとめること、「あなたの出身中学校や現在の学校で、この規定はおかしいと思うものがある(あった)か」を出し合うことを、各グループごとに話しあいました。
大阪府立高校の「黒染め」規定については、Bと考えた生徒が多く、地毛を黒く染めさせるのはおかしいとし、地毛を染めないようにする規定にすべきだというのが多数意見でした。なお、茶髪や癖毛の生徒に地毛証明書を出させている学校が大阪府立や都立高校では6割になっていますが、地毛証明については多くの生徒が肯定的でした。
私は、地毛が茶髪の生徒は6%おり、今後共生社会が進めば、黒髪でない人も多くなってくると考えられ、日本人=黒髪と考えて指導することが適切なのか考える必要があることを提起しておきました。

次いで、文科省「生徒指導提要」をもとに、文科省は「学校が集団生活の場であることなどから、学校には一定のきまりが必要」であり、「学校教育において、社会規範の遵守について適切な指導を行うことはきわめて重要なことであり、校則は教育的意義を有してい」る、としていることを紹介しました。ただし、校則を定める法令の規定は特になく、最高裁判決(1974年)の判例をもとに、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において校則を制定することができ、校則を制定する権限は、学校運営の責任者である校長にあること、そして、校則裁判ではいずれも、学校側に校則制定の裁量権を与えており、原告(生徒)側の訴えは認められなかったこと説明しました。

しかし、1980年代の管理主義教育の中で校則を事細かく規定していることに対する批判がでてきたこと、また、子どもの権利条約において、子どもを権利の主体として位置づけ、意見表明権を始めさまざまな権利を保障していることもあり、文部省も校則見直しの通知を出し、「生徒指導提要」でも校則の見直しについて触れていることを紹介しました。

昨年の大阪での訴訟提起以降、「ブラック校則」をなくそう!プロジェクトが始まり、数万人の署名と全国的な大規模調査が行われ、6人に1人が中学で「下着の色」が決められていたなど、以前よりも緩やかな管理が強まっていることが明らかになったことなど、最近の校則をめぐる動きを紹介し、内田良・荻上チキ『ブラック校則』(東洋館出版社、2018年)という本も出版されていることを紹介しました。

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そのうえで、校則は学校が決めるもので、生徒は校則を変えられないのか、と問題を提起し、三者協議会での取り組み事例を紹介しました。三者協議会とは、生徒・父母(保護者)・教員の三者が,学校内の諸問題について対等に話しあう場で、三者の共同でよりよい学校づくりをしていく取り組みで、1997年に長野県辰野高校で始まり、東京でも、東京大学教育学部附属中等教育学校、私立大東学園高校で行われており、大東学園では2003年から青シャツの着用可、セーターのワンポイント可、茶色・灰色のコート着用可、2004年女子のネクタイ・スラックスの着用可など、校則を変えていった事例を紹介、最近では授業の取り組みについても話しあわれていることを紹介しました。

生徒には、「校則をより良いものにして行くにはどうしたらよいと思うか」、グループで話し合ってもらいましたが、学校側は保護者や生徒の意見も取り入れて校則を変えていってほしい、という意見が多く出されました。

私は、共生社会が進み、多様性が求められるようになっており、これまでの校則でよいのかを考えていく必要があること、また、三者協議会のような仕組みを学校に作っていく必要があること、その取り組みの中に生徒指導の目的(仲間づくりや集団づくり)があること、さらに、生徒という立場からでなく教員になったときの立場からも生徒指導のあり方を考えてほしいことを述べて、授業を終えました。

生徒たちは、両校とも、熱心に授業に取り組み、参加をしてくれました。
この中から何人かでも教員を目指す生徒が出てきたら、うれしいことです。

この記事へのコメント

amemiya
2019年01月04日 16:28
山野晴雄様
年賀状よりこのブログを知りました。日頃のご活躍、大慶に存じます。私は平素より人間を教育し育成する勤めに従事する方々を、基本的に尊敬いたしております。私のスタンスは常にここにあります。私事で恐縮ですが、気が付いてみると私の周りには学校関係者が多く居ります。長女の夫の両親が現役の小学校(横浜市)の教師で、二男の妻も小学校(横浜市)の教師でした。現在は二男の転勤でベルギー在住。帰国後は復職するとか。彼女の父親は筑波大学大学院の教授でしたが、現在は名誉教授です。というわけで、「先生」だらけ、ちなみに長女はヨガのインストラクターで先生らしいですし、二男は工学博士で先生と呼ばれることもあるとか。これは余談でした。ともあれ山野さんからも情報が得られこんな恵まれた環境は、めったにありません。これからもよろしくご指導お願いします。Facebookやってます。Yasuhiro Amemiyaです。検索かけると2番目ぐらいです。

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