教員労働問題と教育崩壊

『POSSE』第40号(2018年11月刊)は、「教員労働問題と教育崩壊」を特集しています。
過労死基準を超える長時間労働、支払われない残業代、部活指導の過重負担など教員を取り巻く労働環境は悪化の一途をたどり、教員の労働はいま、崩壊の危機にある、として特集が組まれています。

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内田良さん(名古屋大学准教授)の巻頭論文「職員室から「働き方改革」を始めよう」は、教員の長時間労働や部活動の問題がマスメディアでも取りあげられるようになったものの、生徒のために「サービス残業をしてほんぼ」という空気も現場では根強いとし、職員室から声を上げ、レ現場からの取り組みで働き方を変えていく必要があることを訴えています。

小阪成洋さん(部活問題プロジェクト代表)へのインタビュー「部活問題対策プロジェクトの取り組み」は、部活問題プロジェクトの設立の経緯やネットでの署名活動などこれまでの活動について聞いたものです。

編集部の「部活動指導の外部化は教員労働改革の切り札となるか」は、教員の長時間労働の要因の1つで、教員の過重負担が問題視され、「ブラック部活」という言葉が生まれる中で、2017年度から「部活動指導員」が導入され、部活動の見直しが進められていることに対して、部活動指導員・外部指導者の導入状況を調査し、この部活動指導の外部化が教員の負担を軽減する可能性を持っている一方で、生徒への影響や、派遣された指導者側の労働問題も懸念されるとし、その動向に注意を払うとともに部活動全体のあり方をどのように変えていくのか、という大きなビジョンのなかで評価・批判を行っていくことが重要であるとしています。

また、編集部の「「ブラック私学」とどう闘うか」は、関西大学付属高校教員の不当解雇を取りあげ、峰崎明美さん(東京私立学校教職員組合書記次長)が連合系の日教組私学・東京私立学校教職員組合の取り組みについて紹介、山口直之さん(全国私教連書記長)・増田啓介さん(東京私教連書記長)は、戦後の私学教員の運動の歴史を紹介しています。

佐藤隆さん(都留文科大学教授)は、インタビュー「給特法を産み落とした戦後教員労働運動の「献身性」」で、教員の多忙化を生み出した政策的・社会的背景と、教育労働運動との関わりについて聞いたもので、日本では教員の「専門性」ではなく「献身性」が求められてきたこともあり、給特法や長時間労働に関係していることを明らかにしています。

私学教員ユニオンの「「私学教員ユニオン」結成とその取り組み」は、2018年4月、総合サポートユニオンが、私学教員の労働環境改善に取り組む「私学教員ユニオン」を結成した経緯と現在の取り組みの状況を紹介したものです。


教員の長時間労働に対しては、中教審でも議論が進められ、文科相では変形労働制の導入を検討しています。
しかし変形労働制を導入しても、月80時間以上の残業をしている教員にとって、8月の夏休みを振り替えたとしても、それだけでは足りません。しかも8月ではあっても、補講習、研修、部活動指導など仕事はあり、全てを休むことは出来ません。

教員の労働はもともと、8時30分から17時の間で終わる状況にはなっていないのです。授業などの学習指導だけでなく、担任になれば学級経営、生徒指導があり、教務・生徒指導・進路指導などの校務分掌、保護者や地域対応、そして部活動指導など、授業が終わってからの仕事が数多くあり、その上で教材研究もしなくてはなりません。教員の仕事自体が1日8時間で終わるかたちにはなっていないのです。
教員の仕事を仕分けすることはもちろん、仕事量を分担するためにも教員を増やすこと、そして部活動を学校から切り離すこと、そうしたことから手を付けない限り教員の長時間労働を軽減していくことはできないでしょう。゜
そのためにも教員の意識改革が必要です。

今回の『POSSE』の特集は、教員の労働環境を改善していくためのヒントがたくさん書かれています。
教員の長時間労働をなくし、真の教員の「働き方改革」を進めていくためにも、ぜひ読んでほしいと思っています。

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