最低賃金に対する高校生の認識

毎日新聞が昨年9月~11月に全国19校で実施した最低賃金に関するアンケートの結果を公表しました。定時制の生徒を含む1268人から回答を得たものですが、給与が最低賃金を下回った場合は労働者が使用者に差額を請求できることを「知らない」と回答したのは64%、最低賃金が毎年秋に改定されることも76%が知らないことがわかりました。厚生労働省調査(2015~16年)でアルバイト経験のある高校生は46%に上ります(毎日新聞の今回の調査では37%)が、最低賃金制度の知識がないまま働く若者が多い実態が浮かんだ、と毎日新聞は指摘しています(『毎日新聞』2017年1月11日朝刊)。

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『毎日新聞』2017年1月11日朝刊

記事によれば、最低賃金制度の認識を問うと、79%が「知っている」と回答。金額が都道府県ごとに決められていることを知っているのは59%でした。アルバイト経験者に限ると、それぞれ92%と77%と高くなっています。
ところが、制度の詳細を問うと、認知度は低下します。給与が最低賃金を下回った場合に差額を請求できることは64%、金額が毎年秋に改定されていることは76%が「知らない」と答え、アルバイト経験者でもそれぞれ55%と57%が知らないと増えています。
バイト経験者で給与と最低賃金の額を比べたことがある人は44%にとどまり、勤務地の最低賃金額を2割が知りませんでした。
 
この調査結果を受けて、本田由紀さん(東京大学教授)は、「アルバイトをしている人ほど知る割合が高いことが目を引いた。高校生バイトは生徒であり、労働者でもある。こうした二重の立場を教材とし、リアルな形で労働法を教えていくべきだ。知識を丸のみさせるだけでは、すぐに忘れられてしまう。労働法は働き手にとって切実なものであること、職場でおかしなことがあれば専門機関にどんどん相談して構わないことを伝えることが必要だ」と述べています。

この毎日新聞の調査は最低賃金制度に関するものですが、私が高校教員であったときにキャリア教育の中で労働法教育をおこないましたが、最低賃金制度のことを知っていた生徒はあまりいませんでした。生徒たちの感想の大半は「最低賃金なんて知らなかった」という反応でした。現代社会の授業でも、労働基準法や労働組合法といった労働三法については説明し、長時間労働や過労死などの問題については新聞記事などで紹介もしましたが、最低賃金法やアルバイトでトラブルにあったときの対処法などはあまり説明した記憶はありません。まだブラック企業やブラックバイトの問題が社会問題化する以前でしたが。
超党派の非正規雇用対策議連がワークルール教育推進法案を通常国会に提出する動きがありますが、公民科などの授業で知識として教えるだけでなく、キャリア教育の中にきちんとワークルール(労働法)教育を位置づけ、生徒のアルバイトの実態を調査し、その実態をもとに教材化し、生徒が興味・関心をもち労働法を学ぶことができるように工夫をして、進めていくことが必要だと思っています。

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