シンポジウム「いつでもどこでもワークルール教育を!」

日本労働弁護団主催のシンポジウム「いつでもどこでもワークルール教育を!-ワークルール教育推進法を制定しよう-」が9月27日、連合会館で開かれ、参加をしてきました。

画像


シンポジウムでは、本田由紀さん(東京大学教授)の基調講演「ワークルール教育をいかに進めるか」のあと、パネルディスカッション、石橋通宏さん(参議院議員、非正規雇用対策議連事務局長)の報告がありました。

画像


本田さんの講演はまず、正社員比率が減少し、非正規社員の比率が増加する一方、世界的コスト競争と産業構造の変化により利潤獲得が困難になる中で、法律や人権を蹂躙する働かせ方が増大し、「ブラック企業」「ブラックバイト」が社会問題となっていること、企業に対して労働関連法規の遵守、雇用契約の厳格化をなどを要請するとともに、働く者が職場の問題に遭遇したときに、専門家との連携のもとにきちんとそれを是正できる意識と知識を備えるようにしてゆくことが必要で、そこにワークルール教育の重要性があることを指摘しました。その上で、NPO法人POSSEメンバーと国立大学附属中等教育学校と神奈川県立高校で実施したワークルール授業の効果検証プロジェクトの内容と効果の検証を紹介し、感想アンケートから「将来、自分が仕事をする上で役立ちそうだ」「新鮮だった」などの感想が多く、授業の事前・事後の比較でも、「職場に不満があってもがまんすべきだ」などは減少し、「世の中のよくないところは直してゆける」は増加するなどの意識の変化が見られたが、実験授業2年後の残存効果を見ると、ワークルール授業を受けた生徒群と受けていない生徒群との有意な差はなかったことを明らかにし、ワークルール授業を1回実施しただけでも、知識・意識両面で生徒にインパクトを与えるが、そのインパクトは2年経過するとほぼ消滅することから、知識の一方的伝達を避け、視聴覚教材・テキスト・プリント等多様な教材を活用することが有効であるとしています。そして、ワークルール教育を有効なものにする条件として、在学中だけでなく、離学後においても繰り返しワークルールの知識やノウハウを触れる反復性・継続性が必要であること、表面的な知識や矛盾するメッセージではない、教える側と教えられる側が対等な労働者・実践者として取り組むものであること、教員自身の意識と行動の変化が求められることなどを指摘しました。

パネルディスカッションは、嶋崎量さん(日本労働弁護団事務局長・弁護士)の司会のもと、中原のり子さん(東京過労死を考える家族の会代表)、小山正樹さん(日本ワークルール検定協会副会長)、本田由紀さん、石田輝正さん(連合非正規労働センター局長)、菅俊治さん(日本労働弁護団常任理事・弁護士)がパネリストを務めました。

画像


石田さんは、フリーダイヤルによる労働相談、労働教育の一環として学生向けに冊子「働くみんなにスターターBOOK」を今年4月に作成して配布、インターネットを通じてマイナビの中にワークルールについて流すなどの取り組みをしていることを紹介しました。
中原さんは、夫が過労死したことを契機に裁判と過労死防止法の制定に努力し、2014年に過労死等防止対策推進法が制定されたこと、過労死をなくすためにもワークルール教育は必要であり、ワークルール教育推進法の制定に協力していきたいと語りました。
菅さんは、日本労働弁護団がワークルール教育推進法の制定を提言し、日本弁護士連合会も労働法制委員会でワークルール推進法に取り組むようになり、今年1月には日弁連でもシンポジウムを開催するようになったこと、また、国会議員の中にも超党派で非正規雇用対策議連が発足し、法制定の動きが広がっていることを紹介しました。

労働組合、弁護士、ワークルール検定協会、過労死を考える会と、それぞれの立場から、ワークルール教育にどのように関わり、推進法制定に向けて協力できるかが語られ、興味深く話を聴くことができましたが、ワークルール教育に取り組むべき学校現場の教員が参加していると、もつとよかったのではないかと思いました。

石橋さんの報告は、非正規雇用対策議連でワークルール教育推進法の制定に向けて3次案まで作られており、与党に慎重な意見があるが、今後、国会に提出できるように努力したい、と法制定に向けての経過報告がありました。

高校現場では、キャリア教育の中でワークルール(労働法)教育を位置づけて取り組んでいる学校はごく少数にとどまっています。ワークルール教育推進法が制定されれば、若者を守るためにもワークルール(労働法)教育がどの高校でも取り組みやすくなります。ぜひ推進法が制定されるように運動を広げていくことが必要であり、私もできる限り協力していきたいと思っています。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 非正規雇用対策議連、ワークルール教育推進法案を国会提出へ

    Excerpt: 超党派の非正規雇用対策議員連盟(会長・尾辻秀久元厚生労働相)が、働く人たちを守る労働法制や労使間のトラブルの解決策を義務教育から教えるよう国に義務づける議員立法「ワークルール教育推進法案」の骨子をまと.. Weblog: 三鷹の一日 racked: 2017-01-09 20:36