多摩高進研究協議大会・総会

多摩地区高等学校進路指導協議会(多摩高進)の研究協議大会・総会が7月1日、国際文化理容美容専門学校国分寺校であり、参加してきました。

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総会後の研究協議大会では、神林真理子さん(白梅学園高校)の研究発表「保育教育系分野を目指す生徒たちへの指導-白梅学園の高大連携の実例-」と、藤田孝典さん(NPO法人ほっとプラス代表理事・聖学院大学客員准教授)の基調講演「日本における若者の貧困問題-困らないためにどうしたらよいか-」がありました。

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神林さんの発表は、白梅学園の学校改革を機に、従来は上位の生徒が白梅短大に進学していたのが、現在は上位層ではない生徒が内部進学を希望するようになった現状をふまえ、保育教育系クラスの生徒に対する指導を、意識を持たせる、適性はつくらせる、大学教育に見合う基礎学力をつけさせる、の3つを重点におき、どのような教育、指導を進めていったのかを紹介したものでした。具体的には、(1)意識づくりのために3年間を通した進路指導の中で、保育園等へのボランティア活動、職業インタビュー、白梅学園大の見学、学長の特別講義、授業体験、面接・論文指導、卒業レポート作成とプレゼンテーションなどを行っていること、(2)体験を重ねることで自信をつけさせ、適性を育成するために担任団が取り組んでいることとして、クラスづくり、物作りのすすめ、書くことの習慣化、幼児教育についての知識を増やすための新聞のスクラップノートづくりや児童書の設置、語彙力・読解力の向上などの取り組みをしていること、(3)音楽、総合体育、保育などの授業を通して保育士・幼稚園教諭になるための基本的知識や技能、実践力の育成を図っていること、などを紹介され、生徒たちの進路意識が、「保育士・幼稚園教諭の資格を取ることが目標」から脱皮し、大学で学びたいこととして「発達障害のある子どもへのサポート方法を学びたい」「待機児童問題の解決策を研究したい」などへと変わってきたことを指導の成果としてあげていました。
将来の進路希望が保育教育系という生徒が集まっているとはいえ、その進路意識を変えさせつつ基礎学力を身につけさせようと取り組んでいる白梅学園の進路指導・キャリア教育、高大連携教育のありようは、大変参考になると思いました。

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藤田さんの講演は、『下流老人』(朝日新書、2015年)に引き続いて今年出版した『貧困世代』(講談社現代新書、2016年)をもとに、現代の若者の貧困問題の現状を紹介し、進路指導に関わって、子どもの貧困化が深刻化していることと、特にブラックバイトや奨学金問題に言及され、労働組合の役割の再評価や教員の果たすべき役割を強調していました。そして貧困を増やさないために、貧困世代、下流老人を生む社会では、ソーシャルアクションを続けることで「暮らしにくさ」は変えられると結んで、講演を終えました。
藤田さんは、教員に対して、生徒をブラック企業に送り出さないようにすること、アルバイトなどで生徒から相談があったときにはそれを受け止め、場合によってはNPOや専門機関に相談してほしいこと、労働組合の役割を認識してほしいこと話されていました。
私は、この藤田さんの 『貧困世代』の書評にも書きましたが、今教員に求められているのは、キャリア教育の中で、「若者自身が、現在若者がおかれている貧困状態を認識できるように社会理解を深めること、そして、そのような社会の中でどのように働き、生きていくのかを考えさせるとともに、貧困世代を生み出している社会構造や制度政策を変えるための働きかけができるような市民教育、労働教育に取り組むこと」だと考えています(http://yamatea.at.webry.info/201604/article_3.html)。若者の貧困問題をキャリア教育の中にどう組み入れていくかが問われていると言えます。

神林さんの白梅学園の実践発表と藤田さんの講演は、キャリア教育の取り組みを考える上で参考になるところが多く、参加をして良かったと思っています。

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