課題発見・問題解決型インターンシップ

末廣啓子さん(宇都宮大学教授)から宇都宮大学キャリア教育・就職支援センター『2838時間挑戦の軌跡-学生が企業の課題に挑む-』平成25・26年度宇都宮大学課題発見・問題解決型インターンシップ実施報告書、2015年)をいただきました。ありがとうございました。

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この報告書は、末廣さんが宇都宮大学キャリア教育・就職支援センター副所長として、この課題発見・問題解決型インターンシップを企画し、実施責任者として取り組んだ記録です。
末廣さんは、従来から職場体験型のインターンシップを実施してきたものの、採用活動に直結したものや企業見学のような短期のプログラムが増えており、企業やそこで働くことの理解を深める、あるいは、社会人として必要な能力を育成するためには不十分であることことを実感し、学生たちが、リアルな働く現場と働く人に触れ、社会人として職業人として必要な知識や能力を身につけることで、気づきを得て、自己の進路・職業選択に自信を持って臨めるようにするという観点から実施したのが、課題発見・問題解決型インターンシップでした。

平成25年度は1社で試行実施し、26年度は4社で本格実施したものです。
課題発見・問題解決型インターンシップとは、企業が抱える課題に対して、学生がチームとなり、業界・企業への理解、課題の分析、解決・改善に向けた具体的な提案・実践を行っていく、というものです。
たとえば、26年度実施の、住宅販売の栃木セキスイハイム株式会社の提示課題は、近年の少子高齢化社会において、市場の縮小が懸念されている中で生き残るために「住宅マーケットのアイデアを企画する」というもので、3人の学生が取り組みました。

参加をした学生たちの感想には次のようなものがあり、参加してよかったことが書かれています。
・今回のインターンシップにおいて、チームで考え、ひとつのことに取り組み、成果物を残すことができたという経験は、今後の大学生活はもちろん、これからの就職活動においても自信につながる経験になった。問題解決まで学んだ論理的な考え方は、もうすでに日常生活にも活かせているのではないかと思う。今後はその考え方をもっといい方向に伸ばしていきたい。
・リーダーとして企業やチーム、先生、キャリアセンターとの情報伝達やスケジュール調整は、とても大変であり、それをこなせたことは大きな成長だったと思う。また、企業の方からアドバイスや注意を受けたことも、普通のインターンシップではできない貴重な体験であった。また、パワーポイントを使ってプレゼンを何度も行ったことも良い経験になった。今回の経験は今後の就職活動においても大いに生かせるのではないかと思う。
・この活動の全体を通して、貴重な経験が出来た。ただの工場見学ではなく、会社がどのような工夫をしたか、今までの失敗を踏まえどう改善したのかなどインターンシップをしなければ知ることができない内容が多かった。また、課題を解決するにあたってしっかりとチームで課題を吟味することができ、自分の意見を述べたり、考えを改めたりできた。このような経験ができて良かったと思う。

報告書は、課題発見・問題解決型インターンシップの成果として、①参加学生のジェネリックスキルが広く、向上した、②企業や職業人との関わりを密に取り組み、受入企業の期待に応える提案や実践を行うことができた、③学部・学年が違う参加学生により、多様性のあるチームでの実施ができた、④担当教員が加わり、専門的な指導も可能となった、ことを挙げ、課題としては、①大学での学習の意味の認識と活用、②担当教員による課題解決に向けた学生への専門的な指導の充実、③効果的な実施のための事業運営の改善、④学生の満足度の向上、が挙げています。

大学では、この宇都宮大学のような課題発見・問題解決型インターンシップを実施する大学が増えてきていますが、その詳細な実施報告書を読むことができ、高校で取り組むことを検討する際の参考になりました。
高校では、教育と探究社が、現代社会と連動しながら「生きる力」を育む教育プログラムとして「クエストエデュケーション」プログラムを有料で提供しています。エイチ・アイ・エス、オムロン、セゾン、大和ハウスなどの企業から与えられた「ミッション」に取り組むものですが、基本的には企業で体験しながら実施するものではありません。
高校生が取り組めるような課題発見・問題解決型インターンシップについて、模索してみたいと思っています。

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