『「二・四事件」80周年記念集会-記録-』を読む

須崎慎一さん(神戸大学名誉教授)から「二・四事件」80周年記念集会実行委員会編『「二・四事件」80周年記念集会-記録-「二・四事件」80周年の意味を問う』(2013年)を送ってくださいました。ありがとうございました。

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ことしの2月23日に長野市で「二・四事件」80周年記念集会が開かれることは、小平千文さん(長野大学講師)からの年賀状で知らせていただいていたのですが、ある学会の研究会と重なり、残念ながら行けませんでした。

二・四事件とは、1933(昭和8)年2月4日に始まる長野県における大規模な労働運動・農民運動に対する弾圧事件です。教労長野県支部・新興教育同盟関係の教員208名の検挙を含め、共産党員27名、共産青年同盟員43名、全農全会派組合員42名、全協繊維18名など60名が検挙され、74名が起訴された事件で、「長野県教員赤化事件」と呼ばれました。しかし、二・四事件は、たんなる教員に対する弾圧事件ではなく、県特高課がのちに「大正一二年以来LYL事件以来胚胎セル共産主義運動諸形態ヲ網羅シテ余サズ、又其ノ検挙ハ総テヲ残サズ根底ヨリ潰滅セシメテ総決算ヲ終レル感アリ、二・四事件ハ本件ニ於ケル画期的検挙トモ言フベシ」と総括しているように、長野県の社会運動を弾圧する「総決算」的役割をもったものでした。

「記録」によれば、80周年記念集会は、午前は荻野富士夫さん(小樽商科大学)の講演「「二・四事件」80周年の意味を問う」、午後の討論会は、荻野さんの「一九三三年の意味」、坂口光邦さん(元長野県教組執行委員長)の「”教育県長野”再生のために歴史に学ぶ」、中馬清福さん(信濃毎日新聞)「2・4事件80周年が問いかけるもの」の問題提起をもとに、質疑・討論が行われたことが知られます。

荻野さんの講演は、長野県特高関係資料をもとに官憲当局が二・四事件をどのように総括しているかを概観したあと、思想・教育統制が二・四事件を機に強化され、児童に対する影響調査や「匡正教育」の実施、師範教育の見直しなど行われ、教学刷新評議会の設置、文部省『国体の本義』の刊行を経て、「皇国民」錬成教育が進められていく状況を概観し、戦後教育においても思想統制から教学錬成に至る流れの連続と断絶があることを明らかにしたものでした。
レジュメでは、安倍政権下の教育再生実行会議の行くえを見る限り、治安体制・治安機能全体の再編強化の一貫としての教育統制が進められていることに触れられており、思想・教育統制の問題は、決して過去の問題ではなく、現在の問題であることを問うた講演でした。

この「記録」には、2012年9月に開催された「二・四事件」80周年記念プレ集会の記録も掲載されています。集会では、この「記録」を送ってくださった須崎さんが「「二・四事件」とその時代-大恐慌・満州事変、そして信州郷軍同志会」を講演されていることを知りました。

参加できなかった記念集会の講演内容や討論の内容を知ることができ、感謝しています。

現代版治安維持法ともいうべき秘密保護法が成立し、テロ防止を口実にさまざまな社会運動や市民に対する監視が強まる可能性がある今日、80年前の二・四事件から学ぶものは多いはずです。再び「二・四事件」が起きる社会とならないように、ぜひ機会があれば、この記録を読んでもらいたいと思っています。

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