過労死企業名開示訴訟

長引く不況と就職難を背景に過労問題が深刻化しています。
「過労社会」の問題を取りあげている『東京新聞』は1月9日付朝刊の「こちら特報部」で、昨年11月に大阪高裁が、過労死を起こした企業名の公表を求めた遺族に対して、企業名が公表されると「ブラック企業」と中傷され、企業に風評被害をもたらしかねない、として、国(大阪労働局)側が企業名を「黒塗り」にした労災認定に関する公文書しか公表しなかったことを追認する判決を出したことを報じています。

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『東京新聞』1月9日付朝刊

過労死で労災認定された企業の名前を公表するように求めている「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表は、次のように訴えています。
「企業名を開示することで、職場環境の改善に努めるきっかけになり、他の労働者も自分の働き方を見直し、健康や生命を守ることにつながるはずだ」

寺西さんは、企業名公表という社会的監視によって過重労働に歯止めをかけようと、2009年3月、大阪労働局に労災認定に関する公文書の情報公開を請求したところ、労働局が開示した文書は企業名の部分などが黒塗りであったため、企業名の開示を求めて、国を相手に提訴しました。11年10月の大阪地裁の判決は、「開示されても企業が直ちに取引先からの信用を失ったり、就職を敬遠されたりする証拠はない」として開示を命じました。
ところが、昨年11月の大阪高裁判決は、一転、「労災認定されただけで「ブラック企業」という否定的評価がされ、企業の利益が害される」という国側の主張を全面的に認め、寺西さんの訴えを退けたのです。

ブラック企業の問題が大きな社会問題となり、大学生の就活でも、過労死企業は学生が就職先を選ぶ際の指標になっています。二審判決は、このような現状を逆手に取り、「過労死認定企業=ブラック企業」という認識が社会に広まっており、企業の利益が害されるとしたものです。
これでは、法の番人である裁判官が、法を守るようにただすのではなく、労働基準法が形骸化している現状を追認する結果となっています。労働者の命より企業の利益を優先した判決で、これでは過労死はなくなりません。過労死は企業による殺人です。企業名の公表だけでなく、労基署の認定理由など過労死の実態を広く明らかにしていくこと、経営者に罰則を与えるようにすること、そうしなければ、過労死はなくならないと考えています。

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