若者を食い潰すブラック企業

むもんあん『朝日新聞』2013年1月5日付朝刊別刷beに「若者を食い潰すブラック企業」という記事が掲載されていました。

画像
『朝日新聞』2013年1月5日付朝刊別刷be

記事は、若者の労働相談に取り組んでいるNPO法人POSSEに寄せられた相談事例を紹介したうえで、ブラック企業は、社員を徹底的に「コスト」としてしか考えず、初めから使い捨てることを前提に大量採用し、大量解雇するシステムをとっており、辞めさせるための手段として組織的・恒常的にパワハラが行われていることを指摘しています。

ブラック企業が存在する背景として、濱口桂一郎さん(労働政策研究・研修機構)のコメントを紹介しています。濱口さんは、戦後、大企業は終身雇用制、年功賃金を守る代わりに社員を猛烈に働かせたが、経済が成長する時代は、それでも「ウィン・ウィン」の関係が成り立っていた、しかし、バブル崩壊以降、企業は社員の雇用と生活を守れなくなったのに、相変わらずサービス残業もいとわず働かせる労働状況が残ったとし、「見返りのある滅私奉公が、見返りのない滅私奉公に変わっていった」ことを指摘しています。
社員を徹底的に働かせて保障はしないブラック企業は、ほころびかけた日本型雇用の「おいしいところ取り」をしていることを見ておく必要があります。

記事はさらに、『ブラック企業』(文春新書、2012年)の著者・今野晴貴さん(POSSE代表)のコメントを紹介しています。今野さんは、被害を受けるのは若者だけではないとし、「日本の未来や社会も食い潰す大きな問題になっている」と指摘していることを紹介しています。長時間労働やパワハラによって、ブラック企業を辞めさせられた若者の多くが、鬱病などの精神性疾患を発症しています。しかし、自己都合で退職させられ、労災は申請できず、雇用保険でも不利益を被り、再就職は難しく、貧困層に陥る若者が続出、結局、こうした治療費や生活保護費などの経済的負担は、社会全体に押しつけられる、と今野さんは述べています。

さらに記事は、労働問題に詳しい弁護士の笹山尚人さんのコメントを紹介しています。笹山さんは、ブラック企業わ見分けるには、「志望先の企業に、長く働いている女性社員が多数いるかどうかが目安の一つになる」とアドバイスし、万が一、入社した企業がブラック企業だと思ったら、NPO法人POSSEや日本労働弁護団、全労連労働相談ホットラインなどの専門機関に相談すること、また客観的に見てブラック企業の可能性が高いとわかったら、そのまま会社に残って病気になったら元も子もないので、辞めるリスクより辞めないリスクの方が大きいので、対処するのが現実的な対処法だ、としています。

学校の場合にも、特に私立では、専任教諭の長時間労働が常態化し、常勤講師や非常勤講師など非正規雇用を増やし、非正規雇用の教員にもクラス担任や部活の顧問をもたせるなど、過重な負担を強いている学校もあります。また、中には校長などによるパワハラなどが行われている学校もあります。

ブラック企業の問題は、個別の企業を告発することも必要ですが、より大事なことは社会の問題としてとらえ、その構造を明らかにし、社会的になくしていくことが必要だと思っています。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック