「ブラック企業をなくせる政治家はだれか?」

12月8日の夜、若者の労働相談に取り組むNPO法人POSSEが主催する討論会「ブラック企業をなくせる政治家はだれか?」があり、参加してきました。会場には20~30代を中心に約60人が集まりました。

代表の今野晴貴さんは、講演で、(1)2009年のリーマンショック以降、世の中では派遣切りで非正規雇用が問題となっていたが、労働相談では正社員の相談が急増していたこと、(2)長時間残業や残業代の不払い、厳しいノルマ、上司の暴言の繰り返しにより、自己都合退職に追い込まれるケースが目立ったこと、(3)企業の労務管理が劣化しているが、ブラック企業は大量採用・大量離職に特徴があり、そのやり方には3つの型があるとし、大量に入社させて、能力、体力のある人間だけに絞り込み、あとの人間はイジメ、長時間労働で病気にさせて辞めさせていく「「選別」型、正社員でも長期雇用を前提にせず、長時間労働、パワハラなどで鬱病に追い込む「使い捨て」型、パワハラ上司を対なめず、継続的に若者を育ている意識がなく、コスト意識が働かない「無秩序」型があること、(4)日本のどの企業もブラック企業になり得る状況にあり、ブラック企業がいくら利益を上げても、日本の社会は破滅の社会になること、(5)文科省の進めるキャリア教育で、社会の厳しさを教えなくてはいけないと強調しているのは、鬱病を増やすだけて、また、トライアル雇用や紹介予定派遣などもサービス残業をさせられており、危険性があること、などを話され、ブラック企業を社会問題としてとらえる必要があることを強調されました。

画像


次に講演された人材コンサルタントの常見陽平さんは、リクルート時代には長時間労働をしていたことや「やりがい搾取」をひろめたことに自省を込めつつ、(1)ブラック企業は社会問題として、他人事ではなく、自分事としてとらえるべきこと、(2)和民などのブラック企業を個別にたたくことではなく、サービス残業、セクハラ・パワハラなど「ブラック労働」がそもそも問題であること、(3)ブラック労働に対して異議申し立てが出来るのか、社会問題として論じるべきであること、(3)日常的に異議申し立てができ、まともな働き方とまともな生活がようにする必要があること、などを話されました。

画像


今野さんと常見さんの対談では、今回の衆議院総選挙の各政党のマニュフェストをみると、劣化をしているとし、常見さんは「雇用の問題は風化してしまった」とし、今野さんは「ブラック企業のことは想定されていない。民主党・自然等など所要政党の雇用対策は用語、用法の間違いさえある。橋下の最低賃金の撤廃は生活保護のパッシングともつながり、ブラック企業を増やすことになる」と語りました。
会場からの質問で投票の判断基準を問われると、常見さんは「ブラック企業をなくす政治家がいるのかという疑問もあるが、迷ったら、若者の女性に投票を」、今野さんは「労働時間の上限規制を訴えている人」と答え、ブラック企業対策を政治家に発信していかないと行けないと思うと、発言を締めくくりました。

現代の日本がまだ「女工哀史」の時代と変わらない低賃金・長時間労働がまかり通っている社会であることを恥じない企業経営者、そうした企業を規制できない政府。今回の総選挙では、国民の雇用問題、労働問題をきちんと考えた政策を打ち出している政党を見極める眼が問われていると思っています。

なお、この討論会については、『東京新聞』2012年12月9日付朝刊で報道されていました。

画像

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック