奨学金滞納

『朝日新聞』2012年3月17日付朝刊によれば、日本学生支援機構の奨学金制度で、返還未納者の個人信用機関への登録、いわゆる「ブラックリスト化」をされた人が1万人を超えたことが明らかになりました。

奨学金の返還は、卒業などで支給が終わった約半年後に始まります。しかし、長引く不況で親元からの出費が減って奨学金への依存度が高まる一方、就職難で非正規雇用も増え、変換が難しい人が増えているという背景があります。
日本学生支援機構は、2010年度末時点で、123万人に総額1兆118億円を貸し出し、3か月以上の滞納額は約2660億円にのぼっていす。回収強化のため、10年度から3か月以上の滞納者の情報を信用機関に登録し、9か月以上になると奨学金返還を求めて裁判所に督促を申し立ています。信用機関への登録件数は、10年度が4469件、11年度が5899件で、計1万368件に。また、裁判所への申し立ては06年度の1181件から10年度の7390件へと6倍に急増しています。

奨学金を受給する学部生(昼間)は、機構の10年度の調査で、大学独自の奨学金を含めると50.7%に達しており、2人に1人が受給していることが知られています。奨学金の種類は、無利子の「第1種」と年利最大3%の利子が加わる「第2種」がありますが、現在は第2種が70%を占め、第1種は増えていません。

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http://www.asahi.com/national/update/0317/より

三輪定宣さん(千葉大学名誉教授)は、「滞納者の登録でそれ以降の人生にハンディを背負わせ、厳しい生活に追い打ちをかける制度は酷。2人に1人が奨学金を受け取る現状を踏まえ、給付型の導入など商が禁制度の抜本的な見直しが必要だ」とコメントされています。
日本政府は、大学などの高等教育機関の段階的無償化を求めた国際人権規約の条項について、30年以上留保してきました。約160の締約国のうち留保をしているのは日本とマダガスカルの2か国だけです。『朝日新聞』2012年3月17日付夕刊によれば、外務省は、この高等教育機関無償化の国際人権規約の条項の留保を撤回する方針を固めたということですが、給付型奨学金を導入し、第2種はなくしていく方向を取る必要があります。

三輪定宣さんの試算によれば、高校・大学・大学院の無償化に必要な予算は約3.5兆円で、GDP比OECD平均並みの教育予算(3.3%→5.0%)にすれば、2010年度の名目GDP550兆円×0.017=9.4兆円増えます。9.4兆円-3.5兆円=5.9兆円のおつりが出る計算になります。
政府は、もっと教育に予算を回すことが求められています。

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