職場のパワハラ

先日刊行されたPOSSE』第14号(2012年3月)では、職場うつを生む日本の職場の分析と、労働者側に立った対策を考えるとし、特集「間違いだらけ? 職場うつ対策の罠」が組まれています。

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大手衣料量販店・X社では、従来の日本型人事制度から「決別」しましたが、精神疾患を患い、離職する若手社員があとを絶たない状況にあるとし、この会社を辞めた3人の若者たちの座談会をもとに、木下武男さん(昭和女子大学)の「うつを産み出す人事制度」という論稿があり、さらに、職場うつを生みだすパワーハラスメントへの実践的な対処法を、今野晴貴さんの(NPO法人POSSE代表)の「「ソフトな退職強要」という新段階-潜脱される解雇規制-」、笹山尚人さん(弁護士)「「穏やか」な退職強要とハラスメントの法律実務」、根本到さん(大阪市立大学)「「職場におけるいじめ」をめぐる労働法」が論じています。

POSSEや東京都労働相談情報センターの労働相談では、退職とパワハラ、職場の嫌がらせなどの相談が増加しています。労働者のメンタルヘルス悪化傾向の要因には、労働時間の長さや、経営者側に与えられた極端な指揮命令の範囲が広いことがあげられています。ところが、近年、職場のハラスメントは、そうした経営側の法的な指揮命令権の強さを前提に、新たな問題として「違法にならないハラスメント」を積極的・自覚的に導入する企業が増えてきているということです。日本の解雇規制が一定厳しいことから、会社側が労働者を退職に追い込むために、判例に照らした場合、会社側の違法性を主張するのが難しいような方法で職場にいずらい雰囲気をつくることが行われ、その結果として、継続的なストレスの累積によりうつになるか、自らその会社に見切りをつけるかの二者択一を迫られ、多くの場合、自ら退職を選ばざるを得ない状況に追い込まれる「ソフトな退職強要」が増えているというのです。この「ソフトな退職強要」は、法的な論点がはっきりない分、裁判で争うことは従来以上に対応が難しいという問題点があります。

厚生労働省の職場のいじめ・嫌がらせに関する円卓会議ワーキング・グループが、今年の1月に報告書をとりまとめています。
この報告書では、職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」は労働者の尊厳や人格を侵害する許されない行為であり、早急に予防や解決に取り組むことが必要な課題であるとし、企業は、職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」による職場の生産性の低下や人材の流出と言った損失を防ぐとともに、労働者の仕事に対する意欲を向上させ、職場の活力を増すためにも、この問題に積極的に取り組むことが求められる、としています。そして、職場のパワーハラスメントの行為類型を以下のようにあげています。
類型                具体的行為
(1)身体的な攻撃        暴行・傷害
(2)精神的な攻撃        脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
(3)人間関係からの切り離し  隔離・仲間外し・無視
(4)過大な要求          業務上明らかに不要なことなどを要求
(5)過小な要求          仕事を与えない等
(6)個の侵害           私的なことに過度に立ち入ること
また、労使の取り組みとして、まず、企業として職場のパワーハラスメントはなくすべきと言う方針を明確に打ち出すことを求めています。

大学の「進路指導論」の授業で、「学校から社会への移行」プロセスの変容に関わって、仕事の現状についてもふれ、国際的な経済競争と産業構造の変化により利潤獲得が困難になる中で、労働条件の劣悪化、法律や人権を蹂躙する働かせ方が増大していること、いわゆるブラック企業に就職していく若者も少なくないことを取りあげました。
学生のリアクションペーパーには学校でもブラック企業はあるのかという質問が書かれていました。
私は、私立のワンマン的な経営者や校長の学校のなかには「ブラック企業」のところもあり、その見分け方としては、(1)非正規雇用である常勤講師に担任をさせている学校かどうか、(2)毎年、多くの人数の教員募集を繰り返し、教員の入れ替わりが多い学校かどうか、で判断できると話したことがあります。
学校によっては、校長の意に沿わない言動をすると、年度途中でも主任や担任を外したり、教職員の前で人格を否定するような発言をする校長がいるところもあるといわれています。

企業にしても学校にしても、「いじめ・嫌がらせ」やパワハラをなくし、労働者や教職員がいきいきと仕事ができる職場環境をつくっていくことが求められていると思っています。

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