キャリア教育推進連携シンポジウム

1月26日の午後、東京・有楽町朝日ホールで「キャリア教育連携シンポジウム」が開かれ、参加してきました。

このシンポジウムは、「みんなで創る子供たちの未来~学校が求める協力とは・学校の外にも先生、教科書が~」をテーマに、経済産業省が主催するキャリア教育アワードの表彰式、文部科学省主催のキャリア教育推進連携表彰式を兼ねて、基調講演、事例発表、パネルディスカッションが行われたものです。

画像
大竹喜美氏

基調講演は、大竹美喜氏(アフラック創業者・最高顧問)が「与えられた道を選ぶより選びとる人生を」という題で講演され、「人づくりは国づくり」であり、子どもたちには「与えられた道よりも、選びとった道」を歩んでほしい、「自分探し」が好きで好きでたまらない仕事に出会えるとし、リスクを怖れず新しいことにチャレンジする精神を身につけてほしいとはなされました。また、社会には、家庭・学校・社会が一体となり、自立を促すキャリア教育を推進していただきたと要望されました。

キャリア教育に取り組む企業等の活動について、「普及型キャリア教育部門」「地域密着型キャリア教育部門」「地域ネットワーク型キャリア教育部門」の3部門においてそれぞれ最も優秀と認められる取り組みと、さらにその中から大賞を表彰するものです。
8組の優秀賞事例のプレゼンテーションが行われ、大賞には福井商工会議所青年部の「おしごと探検隊”アントレ・キッズ”」が選ばれました。この取り組みは、福井の中小企業経営者、社員、保護者が、就業体験を通じて子どもたちに働く意義を教えるプログラムで、仕事の厳しさ、働くことの素晴らしさ、そして地元福井に根付く産業の素晴らしさを伝えることを目的としたものです。この取り組みを通して、講師の企業側は、(1)仕事の目的を子どもたちにわかりやすく講演することで、自社の強みを分析し、再確認できること、(2)講師となった社員も自己啓発され、自らの仕事の意義を再確認し意欲が向上したこと、(3)体験を通じ、子どもたち・父母に企業を認知してもらい、潜在顧客の獲得につながること、(4)次世代の産業の担い手の育成、獲得がはかれること、参加者の親子側は、(1)子どもたちに働いている大人の背中を見せ、感謝・尊敬の気持ちが生まれたこと、(2)地元で数多くの職業を体験することで、地元での職業選択の幅が広がること、(3)親子間で仕事・職業についてコミュニケーションを取るきっかけになったこと、などの効果があったということです。
8分間という短いプレゼンでは取り組みの内容を理解するのは難しいところもありましたが、地域の企業が社会貢献の1つとして地域の学校と連携をして取り組むことは大事な取り組みだと思います。このような取り組みを学校側がどうとらえて実施しているのかという報告があると、もっとよかったと思っています。

学校関係者による事例発表では、3事例の発表がありました。その中で高校のキャリア教育については、秋田県立能代高等学校のキャリア教育「Will Project」の取り組み事例が報告されました。地方の進学校として考えられるだけの学習指導を行い、進学実績は漸増したものの、大学進学に対する目的意識の希薄化、将来へのビジョンがない、受け身の学習態度、偏差値重視の指導や与えるだけの指導に対する限界感などの問題が生じていたことから、(1)生徒に「大きな夢と高い志」を持たせ、将来の目標や進学意識をより明確にする、(2)学習意欲向上と自発的な学習態度を促す、ことを目標に、指導の改善を図り、その取り組み全体を「Will Project」と名づけて、2007(平成19)年度から実施されているものです。
・全学年対象の内容
スクールマナー集会、Will Project説明会(学年ごと)、進路講演会
・1年生 社会を知り、夢を育む
職業研究、社会人講話、学部学科研究、大学見学、ライフプラン作成、発表
・2年生 自分を知り、志を確かなものにする
 インターンシップ、大学研究、出前講座、Willプラン作成、発表
・3年生 挑戦する気概を育てる
進路講話、進路別学習、随時二者面談の実施
こうした取り組みを通して、生徒の自己効力感や進路意識が高まり、明確な目標を持って大学進学をする生徒が増えたということです。今後の課題としては、予算カットへの対応、イベント型からの脱却、ノウハウの継承よりマインドの継承(教員の異動)、教員のスキルアップ(研修)、内容の見直しとマイナーチェンジ、活動を振り返る時間の確保をあげていました。
普通科の進学校は全体的にキャリア教育に取り組む姿勢が弱い中で、能代高校の取り組みは先進的な事例の1つといえます。
多くの学校では、文部科学省や教育委員会等によるキャリア教育推進関連の研究指定校の指定を受けて取り組む場合が多いのが現状です。能代高校の場合もその例ですが、3年間の研究指定が終わったあとも継続していくことにしています。とくに普通科高校でのキャリア教育が大きな課題になっているだけに、能代高校などの事例を参考にしてほしいと思っています。

画像
パネルディスカッション

パネルディスカッションは、「みんなで創る子供たちの未来-キャリア教育の実践にあたって-」をテーマに、藤田晃之氏(文部科学省生徒指導調査官)がコーディネーターになり、生重幸恵氏(キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会)、江川裕子氏(キャリア・コンサルティング協議会)、川嶋輝彦氏(日本IBM)、清水隆彦氏(荒川区立諏訪台中学校長)の4氏がパネリストになり、ディスカッションが行われました。
学校がキャリア教育を取り組むにあたって、企業等からの外部人材を活用しながら取り組むことは大事なことで、多忙な教員に代わって、学校と外部の企業等との橋渡しをするのがキャリア教育コーディネーターやキャリア・コンサルタントの役割です。藤田氏は、まとめの中で、教育のプロとしての先生方が、子どもたちにとって一番良いことは何なのかを考えて取り組んでほしい、と話されていましたが、学校が主体性をもってキャリア教育のプログラムを組み、外部人材をどのように活用していくのか、そのときにキャリア教育コーディネーターやキャリア・コンサルタントをどのように活用していくのか、という議論が深められなかったのは、時間が短かったこともありますが、残念でした。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック