都高進 研究協議大会

5月27日の午後、都立戸山高校において、東京都高等学校進路指導協議会(都高進)の総会・研究協議大会が開かれました。

画像
都立戸山高校

都高進の活動には、昨年教職を離れ、役員を退くまで、1985年から25年間、常任理事、専修学校研究部会長として関わってきました。
1989年のリクルート事件では都高進も大きな影響を受けましたが、東京都の進路指導の研究団体として生まれ変わる提案をし、現在のような進学指導・就職指導・専修学校・進路学習の4部会で、それぞれ研究会を開催していく組織体制を整えることができました。都高進に関わった先生方の努力で、この20年間、地道な活動が続けられていることをうれしく思っています。

研究協議大会では、望月一志さん(マイナビ編集長)の講演、専修学校研究部会と進路学習研究部会から研究発表がありました。

画像


望月さんの講演は、「大卒の就職事情と大学でつけたい力」というテーマで、現在の大学生の就職状況、就活の現状について触れたあと、企業の採用選考の現状から、職業観を高め、ヒューマンスキルを高めるために、大学生活で取り組むべきことを話されました。とくに企業の採用選考については、エントリーシートや面接で聞かれることとして、あなたの特徴、つまり自己ピーアール、なぜこの仕事を選んだのかという志望動機、どんな学生生活を送ってきたか、その取り組みが聞かれ、それを通して「可能性」を見ようとしていることを話されました。また、大学生活を通じて取り組むべきこととして、(1)社会に関心を持つこと、卒業後、社会とどのように関わって生きていきたいのかを思索すること、学んでいることと社会のつながりを意識すること、自分の特性を理解し、社会に貢献していく上で最も適した職業を思索すること、その職業に就くために必要なものを学生生活で身につけていくこと、これらを通して職業観を高めること、(2)学ぶことの意味や意義を理解し、学業に打ち込むこと、ゼミやサークルなどチームでの取り組みに積極的に参加すること、立場や価値観の異なることと交わることで、自分の特性を理解すること、自分の意見を言葉で表現する機会を見つけること、読書や旅行などを通じて見聞を広めること、それらを通してヒューマンスキルを高めること、をあげられました。

望月さんの職業観を高め、ヒューマンスキルを高めるための努力を学生時代にしておくことの重要性を話されたことは理解できますし、参考になりました。ただ、その前提として紹介された、就活の早期化の見直しに関連して日本経団連が出した「学生に対するメッセージ」について、そのまま紹介されましたが、「学生が就職活動に多くの時間費やし、本文である学業に支障を来しているという現状」をもたらしたのは、経団連自身であることに触れないのは問題ですし、企業が採用の際に大学のブランドで選考している実態について触れないまま「就職に強い大学は?」と、大学の就職支援、キャリア教育について紹介されても、それでよいのかという疑問は残りました。

研究発表では、専修学校研究部会の「2010年度専門学校への進路指導に関するアンケート調査」の報告がありましたが、これは昨年12月の研究会で発表されたものなので、ここでは再紹介はしませんが、私の提案で1990年から始められた経年調査が20年にわたり実施されていることになり、後を引き継いでくれている長崎先生をはじめ都高進の先生方には感謝です。

もう1つの研究発表は、進路学習研究部会が進路学習教材の開発で作成したワークシートの紹介でした。これまでの教材開発ではテーマになかった、労働法に関するワークシートが紹介されました。都立稔ヶ丘高校の吉田英文さんが作成された「知っておきたい『働く』ことの法律」というワークシートです。チャレンジスクールで、アルバイトをしている生徒が多いにもかかわらず、なかなか休めない、最低賃金のことも知らないという実情を踏まえ、作成したということです。
ワーク1「知っておきたい労働法」の明治時代の紡績業の労働状況についてのシートは、歴史的なものよりは、ブラック企業のような違法な環境で働かせている現状について考えさせるもののほうが良いように感じました。
ワーク2「労働に関するクイズに挑戦!」は、クイズを通して労働法について考えさせるもので、グループで話し合いながら解答を探らせようというシートです。労働法教育では、このような方法で生徒の理解を深めさせるのが主流となっており、それで良いと思いますが、問題は、どのような内容のものを盛り込むかです。シートでは、雇用契約のこと、労災保険のこと、最低賃金のこと、損害賠償のこと、残業代のこと、退職のことの6つが取りあげられています。必要最低限のこととして何を盛り込むべきかは議論していく必要があると思っていますが、雇用契約、賃金・残業代未払い、年休取得、育児・介護休業、懲戒(罰金)、退職、解雇、退職勧奨、中途解約・雇い止め、雇用保険、賃金カット、セクハラ、労災保険、そして相談機関などは盛り込む必要があると思っています。

いまは現場の高校教員ではありませんが、高校での進路指導・キャリア教育の現状を知るうえで、いい機会となりました。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック