原子力安全委の「無責任」

『東京新聞』4月15日付朝刊の「こちら特報部」は、原子力安全委員会が「過酷事故(シビアアクシデント)」の対策や管理を行う役割を果たさなければならないのに、この役目を最初から放棄し、電力会社の自主努力に任せる、つまり”丸投げ”してきた「無責任」を断罪しています。

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『東京新聞』4月15日付朝刊

記事によれば、原子力安全委は、1992年に過酷事故に関する決定文を公表したが、そこには「原子炉設置者において効果的なアクシデントマネージメント(事故対策)を自主的に整備」することが「強く奨励される」べきだ、と書かれているということです。決定文には「シビアアクシデントは工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分に小さい」とあり、原発は安全であるから、「国を挙げて防護対策や対処法を練る必要はない」し、そんなことをすれば「安全神話」と矛盾することになるという背景があったことを指摘しています。

「原子炉設置者」の「自主的整備」に任せた結果が、今回の深刻な事故につながっています。
記事の中で、元福島県議の伊藤達さんは、「津波で被害が大きくなることは予想されていた。何度も東電に改善を求めたのに抜本的対策を取らなかった」と、批判しています。
国民の安全を第一に考えなくてはいけないはずの原子力安全委員会や原子力安全・保安院は、その役割を果たさなかった「無責任」の罪の深さを深刻に受けとめる必要があります。

伊藤誠さん(東京大学名誉教授)は、「事故当事国の日本では、脱原発への機運がいっそう高められてよい。それが危機を転機に後続世代に安心のゆく経済社会システムを残してゆく責任を果たす道ではないか」(「日本資本主義の二重の激震」)とのべていますが、そのためにも、福島原発事故が収束した後には、原子力安全委員会や原子力安全・保安院は解体し、新たな専門家を組織して既存の原子力発電所の徹底した総点検を行うとともに、最も危険性の高い福島、柏崎刈羽、浜岡原発は運転を停止し、脱原発のエネルギー政策へ転換することが必要だと考えています。

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