「学校は会社ではない!」 2

『週刊金曜日』2月25日号の特集「学校は会社ではない!」で、瀬下美和「経営管理と競争主義で、”もしドラ”化する都立高校」が、東京都教育委員会が、都立高校を経営管理と競争主義で大学進学実績を競わせている状況を批判しています。

都教委は、企業経営マネジメントシステム「PDCAサイクル」を導入し、数値目標を明記させる学校経営計画、経営評価、生徒による授業評価、学校経営診断、損益計算書やバランスシートの作成などを各高校に義務づけています。また、経営計画の目標を達成させるために教育職のあり方も改変し、従来は校長−教頭−教諭というナベフタ方式から、校長−副校長−主幹教諭−主任教諭−教諭と階層化を進めました。
そして、大学進学実績を上げるために、進学指導重点校7校(日比谷、戸山、西、青山、国立、立川、八王子東)、進学指導特別推進校5校(小山台、駒場、新宿、町田、国分寺)、進学指導推進校14校(三田、国際、豊多摩、竹早、北園、隅田川、城東、小松川、武蔵野北、小金井北、江北、江戸川、調布北、日野台)を指定して、難関国立大学等への合格指導に力を入れさせています。

学校経営計画では、進路指導に関しても数値目標が明記され、たとえば八王子東の場合は
「①国公立大学合格者数(現浪)180名以上(昨年度実績158名)
 ②センター試験受験者のうち5教科7科目型受験者数240名以上(昨年度実績240名)
 ③センター試験(5教科7科目型)80%以上の得点者50名以上(昨年度実績32名)」
となっています。
中等教育学校になる三鷹では「①センター試験実受験者を250名以上、②国公立大学合格者(現役・浪人合わせて)50名以上、③私立有力大学(早慶上マーチの8大学)170名以上、④現役大学進学率75%以上」、「勉強部」という部活動を始める調布南は「①進路指導方針の理科への肯定的評価:80%(65%程度)、②進路準備指導等の実施への肯定的評価:70%(60%程度)、③入学者数等:大学145名、短大13名、専門学校40名、就職1名、その他35名、進路決定率:85%、(大128、短9、専40、就2、他57、進路決定率76%)」となっています。

画像
都立三鷹高校

進学指導重点校・特別推進校・推進校では、大学以外の進路はないような計画です。瀨下氏は、八王子東の「大学への進学が高校生活の目標だった」という卒業生を取材して、「学校全体に大学受験へ向かう一体感があったと振り返」っていたことに触れていますが、卒業生の中には語学系の専門学校へ進学した生徒もいます。おそらくその生徒に対しては学校は何も指導しなかったことは想像がつきます。

都教委が都立高校に大学進学実績を上げるために競争をさせても現実は、1月13日の「進学指導重点校等におけるキャリア教育の推進進学対策の取組について」でも、「進学指導重点校内においても、大学合格実績に相当の差がついており、一部の学校については伸び悩みあるいは低迷」と指摘されているように、必ずしも実績は上がっていません。すでに小学校の段階で学力のある子どもの多くは私立中学へ進学しており、都立高校は私立中学へ進学しなかった公立の中学生を対象に選抜をしているのが現状です。

瀨下氏は「石原慎太郎都知事と都教委は、『都立復権』をかかげて都立高校改革を強引に進めるが、六〇年代といまでは高校や大学入試の環境も変わり、私立と都立では果たすべき役割も違う。こうした事情を考慮することなしに、大学合格者数だけを競うことに、どれだけの意義があるのだろうか」とまとめていますが、都立高校の学校経営、教育活動のあり方について、根本的に考え直す必要があると思っています。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック