原発事故

東京電力の福島第一原子力発電所の事故は予断を許さない重大な事故に発展し、住民避難、農作物や水道水等への放射能被害、計画停電など、国民の生命や生活に深刻な影響を及ぼしています。

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『朝日新聞』3月17日付朝刊より

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『朝日新聞』3月18日付朝刊より

『毎日新聞』3月26日付朝刊は、東電以外の9電力会社を調査し、14原発が津波による浸水を想定していなかった、つまり「想定外」であったことを明らかにしています。

記事では、次のような石橋克彦・神戸大学名誉教授のコメントを紹介しています。
「地震や津波で原発が機能不全に陥る『原発震災』を警告してきた石橋克彦・神戸大名誉教授(地震学)は『電力会社は津波を甘く見ている。日本で原発建設が本格化した60年代には、原発の立地条件で津波の影響はほとんど考慮されず、後付けで電力会社に都合良く津波が想定されてきた。地震と津波のリスクを予想することは難しい。それを考えれば、日本列島で原発を推進するのは危険だ』と指摘する。」

福島第一原発の場合、今回の東日本大地震では想定(5メートル)を超える14メートルの津波で被災し、非常用発電などの重要機器のほとんどが浸水で使用できなくなり、原子炉の冷却が出来ず、深刻な事故に発展しました。

しかし、すでに2006年3月の衆議院予算委員会で日本共産党の吉井英勝議員が、今回の福島第一原発事故と同様の事態を予測して政府に対策を迫った国会質問をしています。

吉井議員は、1960年のチリ津波のときに、三陸海岸で約25分にわたって引き波が続いたことや、原発のある宮城県女川町で海水面が推定6メートル低下したことを指摘し、水位が下がった場合、原発の冷却水が海から正常に取水できなくなるのではないかとただしました。

これに対し広瀬研吉原子力安全・保安院長は、海面が4メートル低下した場合で28基、5メートル低下した場合で43基(日本の原発の約8割)の原発が、一時的に取水に必要な水位を下回ると答えました。

吉井議員は、静岡県の浜岡原発1号機の例をあげ、取水層の容量からすると「仮に、引き波による水位低下で取水できなくなったときは、34秒で冷却不能になる」と指摘し、また、途中で原子炉を停止した場合でも、崩壊熱(燃料の中の放射性物質が発生する熱)の除去に毎分60トンの冷却水が必要になることを指摘し、「崩壊熱が除去できなければ、炉心溶融や水蒸気爆発など、最悪の事態を想定しなければならない」と、対策を求めています(『赤旗』2006年3月2日付)。

共産党という少数政党の国会質問は新聞にも取りあげられず、当時の自民党政府や東京電力は「安全神話」をふりまき、まともな対策は取ってきませんでした。今回の原発事故は「想定外」で済ますことは出来ません。吉井議員や市民団体などの指摘を顧みなかった結果ですから、明らかに「人災」です。

原子力安全委員会をはじめ専門家の英知を結集して現在の福島原発事故をこれ以上重大な事態に発展させないように危機の回避に全力をあげるとともに、「安全神話」から決別し、全国の原発の総点検、さらには原子力利用から自然エネルギー利用へのエネルギー政策の転換をはかっていくことが早急に求められていると思っています。

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