開かれた学校づくり 2

昨日、埼玉県立草加東高校の開かれた学校づくりの実践記録をまとめられた小池由美子さんの『学校評価と四者協議会』(同時代社、2011年)を紹介しましたが、この本が刊行される前年に、2009年9月に明治大学で開催された「開かれた学校づくり全国交流集会第10回記念集会」の記録が、浦野東洋一・神山正弘・三上昭彦編『開かれた学校づくりの実践と理論』(同時代社、2010年)としてまとめられているのを知りました。

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この本には、全国交流集会の中心となり理論面でも支えている浦野東洋一さん(帝京大学)の「『開かれた学校づくり』全国交流集会の一〇年をふりかえって」をはじめ、橋本大二郎県知事時代に全県的な開かれた学校づくりと授業評価を含めた授業改善を進める「土佐の教育改革」をおこなった元高知県教育長の大崎博澄さんの記念講演「子どもという希望-土佐の教育改革と私」、生徒・保護者・教職員さらに地域住民の参加と共同による学校づくりを進めた宮下与兵衛さん(長野県立赤穂高校)の「辰野高校の『ファーラム』『三者協議会』による民主的学校づくり」、小池由美子さん(埼玉県立草加東高校)の「学校評価と開かれた学校づくり」の実践研究報告のほか、「開かれた学校づくり・参加と共同の学校づくり-その到達点」として松代峰明さん(北海道富良野高校)、東山邦夫さん(和歌山県立和歌山高校)、細野隆彦さん(埼玉県立岩槻高校)、池上宏さん(長野県立松本県ヶ丘高校)、金子広志さん(大東学園高校長)、夏原常明さん(彦根西高校)の実践報告、「開かれた学校づくり・参加と共同の学校づくり-その展望」として神山正弘さん(帝京平成大学)と堀尾輝久さん(東京大学名誉教授)の報告などが載せられています。

開かれた学校づくりに関心のある方にはぜひ読んでいただきたいと思っています。

私は、この全国交流集会の第6回大会が2006年1月に東京の大東学園高校で開かれたときに、当時の大東学園高校長であった池上東湖さんから実践報告をするようにお話があり、「今年はじめた三者協議会」というテーマで発表したことがあります。

私が2005年に教頭職になるときに、10項目にわたる学校改革案を次期校長に手紙として送りました。その項目の1つが「三者協議会の設置」でした。私は、長野県立辰野高校で行われていた三者協議会の取り組みを念頭に、桜華女学院でも「生徒・教職員・保護者の三者の協同を大切にした学校づくりを進めていくことが必要」だと考え、提案しました。
運営委員会や職員会議では、生徒の要望を聞いていたら学校が成り立たなくなる、校則は学校の専決事項であり生徒の意見を聞く必要はない、など三者協議会は必要ないという反対意見も出されました。私は、生徒と保護者が集まって意見交換をするだけでも学校は今より良い方向に変わっていくと訴え、1学期間の議論のあと設置が認められました。
2005年の11月19日に第1回三者協議会開かれ、生徒側からは施設・設備の改善として、グラウンドに照明灯を設置して欲しいという要望が出されました。冬になるとすぐに日が暮れてしまうため、練習時間が確保できないというのが設置の理由でした。保護者の側からも、何とかならないかという意見が出され、校長は、費用がかかることなので、予算措置がとれるように努力してみたい、と回答しました。この照明灯の設置は、翌年度に予算化され、夏休みに工事が行われ、実現することになります。
全国交流集会では、三者協議会設置までの経緯と第1回三者協議会の様子を報告しました。交流集会では、大学院時代に一緒であった草川剛人さん(当時、東京大学附属中等教育学校副校長、現在、宝仙学園高校副校長)も実践報告をされ、久しぶりに顔を合わせたことを思い出します。

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桜華女学院・第1回三者協議会の様子

桜華女学院では、その後、学期ごとに年3回、三者協議会が開催され、事務局からは協議会で話し合われた内容を通信で全校に配布するようになりました。また、生徒たちも積極的に意見を発表するようになり、場合によってはアンケートを取ったり、委員会で意見をまとめて、意見を発表するなど、成長が見られるようになりました。
私は、昨年の3月で退職することになり、その後の様子はわかりませんが、退職前に父母の会会報『諸声』第2号(2009年12月3日)に「三者協議会の活性化を」という文章を寄稿し、桜華女学院での三者協議会の現状と課題を次のように書きました。

本校は目指す学校像の1つとして、「家庭や地域に開かれ、生徒・保護者・地域から信頼される学校」を掲げています。そして、その実現のために、ホームページや学年・学級通信等の発行による積極的な情報発信、父母の会・同窓会・講演会の学校行事への参加推進、近隣の学校や商店街など近隣との連携とともに、三者協議会の開催と拡大を取り組みの目標にあげています。
私は、生徒たちが、それぞれに抱える悩みや課題を克服しながら、学校のさまざまな教育活動を通して人間的に大きく成長し、桜華女学院に入学してよかったという学校にしていきたい、と思っています。生徒が抱える悩みや課題を克服し発達していく力を引き出すのは教師一個人の力ではなく、生徒・保護者・教師の協同の力にあること、そして、生徒たちの持つ力を信じて積極的に働きかけ、生徒会の活動をもっと重視すること、保護者の協力を得るとともに父母の会の活動を財政的な支援にとどまらず教育活動に参画してもらうこと、さらに教職員の取り組みとあいまって、みんなが誇りを持つことの出来る学校に変えることが出来る、と考えたのです。私が三者協議会の設置を提案したのは、そうした思いからで、生徒・保護者・教職員の三者がよりよい学校づくりのために要望を聞いたり意見交換をする場にしていきたいという願いからでした。
毎学期開催されている三者協議会では、これまで、グラウンドの照明灯設置や食堂の改修等の施設・設備の改善問題、風紀指導での教員間の一致した指導など生徒指導上の問題、生徒の授業評価・自己評価をもとにした授業のあり方や受験講習の問題、転退学の問題、登下校時の中宿商店街の交通マナーの問題など、本校の教育活動に関わるさまざまな問題が話し合われてきました。その中には照明灯の設置や食堂改修のように改善が図られたもの、交通マナーのように生徒会で取り組みをしたりしたものもあります。
今後の課題としては、本校の教育活動全般にわたる学校評価が実施されるので、授業のあり方や進路の問題、生徒指導上の問題、部活動のあり方などについて、意見や提言をしてもらうこと、また、代表者だけでなく一般の生徒・保護者の方々も議論に参加してもらうこと、そのためにいくつか協議テーマを決めて話し合いをしていくことも考えられます。さらに、生徒会や父母の会でそれぞれアンケートを取って要望書等をとりまとめ、議論を組織化して生徒会・父母の会の活動が活発に行われるようにすること、それを受けて教職員間での議論を活性化させていくこと、そしてより開かれた学校にしていくことが求められていると考えています。

桜華女学院は4月からは日体桜華に変わります。この『開かれた学校づくりの実践と理論』を参考にしながら、校名だけでなく、生徒・保護者・教職員の参加と共同により、よりよい学校に変わり、発展していくことを願っています。

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