非正規雇用の国際比較

2月25日の午後、ホテルフラロシオン青山において、労働政策研究・研修機構主催の労働政策フォーラム「非正規雇用の国際比較~欧米諸国の最近の動向~」があり、参加してきました。

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趣旨説明のあと、イギリス・ドイツ・フランス・オランダ・アメリカの5か国の非正規雇用の現状について報告がありました。

イギリスについてはゲイリー・スレーター氏(ブラッドフォード大学上級講師)が報告され、雇用保護に関する規制はアメリカに次いで低いが、非正規雇用の割合は少ないこと、パート労働者の78%は女性であること、十分な保育支援が欠如していることが女性の雇用を制限していることなどを話されました。

ドイツについてはハルトムート・ザイフェルト氏(ハンスベックラー財団経済社会研究所顧問)が報告され、1990年代以降非正規雇用が増加し、性別では女性が多く、非正規雇用の拡大はさまざまな不安定リスクの増加につながり、低賃金分野の発展に重要な役割を果たし、就労中と引退後の生活に貧困の危険を招くことを指摘しました。

フランスについてはフランソワ・ミション氏(国立科学研究センター上席研究員)が報告され、派遣労働は自動車産業など製造業セクターで若年、未熟練、ブルーカラーの男性に多く、有期契約やパートタイム契約はサービスセクターで女性に多いこと、EU指令により法律は均等待遇を付与しているが、現実にはギャップがあり、非正規はバッドジョブになっている現状を話されました。

オランダについてはアルヤン・カイザー氏(マンチェスター大学講師)が報告され、パートタイムの割合が特に女性に高く、週労働時間も20~30時間が多いこと、パートタイム雇用の「正規化」が進み、1996年からパート労働者に賃金、残業手当、ポーナス、職業訓練などについて、フルタイム労働者と均等な待遇を受ける権利が与えられていること、2000年には労働時間法が制定され、従業員が労働時間を自分で変更できる権利が与えられたこと、しかし現在の懸念事項として、労働時間の短いパート女性労働者が多いことは女性の経済的自立を阻害し、高齢かゃかいへの対応も困難にする懸念、派遣労働と有期契約が、多数の従業員にとって、新たな規範になるのではないかという懸念などが指摘されました。

アメリカについてはアーベル・ヴァレンズエラ Jr氏(カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授)が報告され、アメリカの非正規雇用はパート邸路雇用、派遣労働、独立請負人、オンコール&短期労働者、日雇い労働者などがあり、金融コンサルタントなど高収入の者から低賃金の日雇いまでいるが、全体として非正規雇用は女性、黒人、ヒスパニック、移民に多いこと、法律はあっても政府は介入しない、労働組合も非正規労働者には何もしていないこと、そのような状況の中で、コミュニティレベルでは「ワークセンター」が非正規労働者を組織化しようという新しい動きがあることを話されました。

オランダ以外の国々は日本と同じように非正規労働者が貧困と劣悪な労働条件のもとにあることが理解できました。

質疑応答では、日本では非正規雇用の増大とともに年金・社会保険料の未納が大きな問題となっているが、各国ではどうか、という質問が出されました。各国とも正規雇用は法律によってカバーされているが、非正規雇用だと低賃金のため拠出金が払えず、高齢者になると貧困になる(ドイツ)など、日本と同様に問題があることが指摘されました。オランダの場合は、パートの労働時間が短い場合、年金の給付金が少なくなるという問題があり、パートの労働時間を長くして要望に応えていこうとしているとの回答がありました。
質疑ではほかにオランダのワークシェアリングとパートタイムとの関連、労働組合の非正規雇用に対する取り組みなどについて質問がありました。

このフォーラムでの報告を聞いていて、グローバル競争の中で企業が非正規雇用を拡大しているのはどの国でも同じような状況にあることがわかりましたが、そのことが非正規労働者の貧困を招いており、その将来を考えると大きな社会問題になるのではないかと危惧の念をいだかざるを得ません。少なくともオランダのように、非正規労働者も正規労働者と均等な待遇にする権利を与えることが必要だと感じました。

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