「勉強部」

『読売新聞』2月8日付朝刊に、東京都立調布南高校が新年度から部活動の1つとして「勉強部」を発足させるという記事が掲載されていました。

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『読売新聞』2月8日付朝刊

記事によれば、「勉強部」は生徒が放課後や休日に受験科目について教員から指導を受けるもので、有名進学予備校から講師を招いての特別講座や夏休み合宿も開き、大学進学率のアップを図るというものです。

大学受験講習に過ぎないわけですが、あえて部活動にしたのには理由があるとのこと。補習授業だと教員のボランティアとなりますが、部活動なら休日出勤の場合に代休が取得でき、予備校講師の出講も「部活動指導者」の立場で呼ぶことが出来るというものです。

しかし、大学受験講習が部活動なのかという根本の問題があります。
2013年度から施行される新学習指導要領には、総則第5款の5(13)に「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動についてはもスポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるように留意すること」とあります。
部活動は、クラスや学年を離れて生徒が活動を組織し展開することにより、生徒の自主性や協調性、責任感、連帯感などを育成し、仲間の部員や顧問である教員と密接ふれあう場としても大きな意義を持つ活動です。

受験学習が、運動部や文化部と同様に、そのような意義を持つ活動なのかといえば、疑問です。

受験講習を担当する教員の負担が大きいのは理解できますから、まずは都教委に部活の顧問と同じように処遇することを要求すべきでしょう。都教委も「主な活動内容が補習という部活動は聞いたことがない。面白い発想」(『読売新聞』2月8日付朝刊)などと言っていないで、受験指導をする教員にも手当を出したり、休日出勤の場合は代休を与えるなど、教員の待遇を改善すべきです。

調布南高校が「勉強部」という苦肉の策を考えた背景には、都教委の大学進学重点の指導があります。調布南高校は、都教委から、平成23年度より〈重点支援校〉の指定を受け、「進路実績・部活動実績の飛躍的な向上により、地域を代表する中堅進学校」に飛躍することを目ざしています。すでに代々木ゼミナールのサテライン講座、駿台予備学校のサテライト講座を導入し、大学受験指導にも力を入れています。2・3年次を中心に総合的な学習の時間を活用して進路学習も行っています。
「勉強部」などという苦肉の策を取らなくても、進路学習と大学受験指導を組み合わせ、体系的・組織的な進路指導・キャリア教育に取り組むとともに、部活動や学校行事などに取り組ませることによって、生徒が生き生きとした高校生活を送るならば、もっと進学実績も向上するはずです。もう一度考え直すべきだと思います。

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