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zoom RSS 共謀罪法の成立に思う

<<   作成日時 : 2017/06/16 23:59   >>

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共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案(共謀罪法)が6月15日、参議院本会議で強行採決され、成立しました。

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未来のための公共ツィツター(https://twitter.com/public4f

これまで犯罪を罰するのは「既遂」が原則で、重大犯罪には例外的に予備罪などがありますが、277もの犯罪を計画段階から取り締まる共謀罪は、これまでの日本の刑事司法の形を根本から変えるものです。これだけの重要な法案にもかかわらず、金田勝年法相は法案の内容を理解していないような不安定な答弁を繰り返し、議論が深まらないまま、しかも法務委員会の審議を途中で打ち切る「中間報告」という奇策でいきなり成立させるのは、民主主義を破壊する暴挙といわざるを得ません。「安倍一強」のもとで「政府与党が成立させると決めた法案は何でも成立させる」というのであれば、議会の意味はありません。

共謀罪の審議の中で政府は繰り返し、「一般人は取り締まりの対象にならない」と答弁してきました。
しかし、現在でも警察や公安調査庁は、反原発や環境団体、反権力・反政府的な市民運動団体、言論・出版の自由を求めるマスコミ系団体などを日常的に監視対象にして調査を行っています。
これで歯止めが曖昧な共謀罪が成立したことにより、公安警察は強力な武器を得たことになります。「私は一般人だから、共謀罪は関係ない」と思っている人が多いと思いますが、「一般人」とは「政府のやることに反対しない人」であり、警察は、権力の維持に脅威となり得ると判断すれば、監視対象にしていきます。反原発や反基地運動などの市民運動は当然対象になります。

国連のジョゼフ・ケナタッチ特別報告者は、共謀罪法案について「プライバシーや表現の自由の制限につながる。恣意的運用のおそれがある」との書簡を安倍首相宛に送りました。共謀罪は犯罪の実行前に逮捕するわけですから、警察が狙いを定めた団体や個人の内心を知るために、スパイを送りこんだり、メールやLINE、電話などの盗聴をしたり、行動を日常的に監視をしなければならなくなります。当然、人権侵害や冤罪も起こり得ることになります。

戦前、1925年に制定された治安維持法は、国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的」とする結社を禁止するための法律として作られました。つまり共産党を弾圧するためのもので、政府も一般国民には関係ないとしていました。ところが、1928年には緊急勅令で法を「改悪」し、最高刑を死刑とするとともに、目的遂行罪をつくり、共産党の活動を支えるあらゆる行為を罰することができるようにしました。そして戦時体制が強化されるようになると、共産党が潰滅した後も、反戦思想や反政府思想を持つ者や国家神道に反する宗教団体にいたるまで検挙、弾圧されるようになりました。起訴されるのはごく少数で、特高警察による拷問が横行し、思想弾圧そのものが自己目的化するようになりました。

共謀罪法も、今は自分には関係ないと思っている人が多いと思いますが、今後、法改正が行われ、一般人、一般の団体などが監視の対象にならないという保証はどこにもありません。国会審議でも、団体の性質が一変すれば一般人も対象になる、と政府側は答弁しています。
「内心の自由」に警察が手を突っ込むことでは、治安維持法も共謀罪法も変わりはありません。

政府は、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)に加盟するために共謀罪が必要であるとし、それはテロ防止対策のためで、この法律がなければ東京オリンピックも開催できないとまで主張しています。しかし、TOC条約締結のため、各国が立法作業をする際の指針とする国連の「立法ガイド」を執筆したニコス・パッサス氏は、条約は「組織的犯罪集団による金銭的な利益を目的とした国際犯罪が対象」で、「テロは対象から除外されている」と指摘しています(『東京新聞』2017年6月5日)。政府が共謀罪の根拠としたTOC条約はテロ防止が目的ではないにもかかわらず、改正組織犯罪処罰法を「テロ等準備罪」法と呼ぶのは問題があります。

特定秘密法案に反対する国会周辺でのデモに対して、当時の自民党の石破茂幹事長が、「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」とブログに書いたことがあります。そのような考え方にもとづけば、反政府の立場で活動する団体はテロ組織と同じということになり、共謀罪の対象になります。そのような運用がなされれば、思想・表現の自由はなくなります。

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『朝日新聞』2017年6月16日朝刊

監視の対象にならないように国民が気をつけてしまう、萎縮してしまう、政府にとっては都合の良い「理想の社会」かも知れませんが、親しい人にさえ何を考えているのか言えない密告社会・監視社会に近い将来なったとしたら、そんな社会に暮らしたいとは思いません。
そうした社会にならないように、平成版治安維持法である共謀罪法が廃止されるまで、声を上げ、動かなければいけないと思っています。

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