三鷹の一日

アクセスカウンタ

zoom RSS 労働政策フォーラム「The Future of Work −仕事の未来−」

<<   作成日時 : 2017/05/13 11:18   >>

トラックバック 0 / コメント 0

労働政策研究・研修機構、国際労働機関主催による労働政策フォーラム「The Future of Work −仕事の未来−」が5月12日、国連大学で開かれ、参加してきました。

画像


人工知能(AI)などの新しい技術革新の発展が、産業構造・雇用構造や経済社会システムを大きく変えていくと言われていますが、その中で、人々の働き方がどのように変わっていくのか、あるいはどう変わっていくべきなのかを考えることは、キャリア教育に取り組む立場からも、関心をもたざるを得ない重要な問題です。そうした問題意識を持っていたので、労働政策フォーラムで、「仕事の未来」をテーマに議論されることを知り、参考となる話が聞けるのではないかと思い、参加したものです。

プログラムは、次の通りでした。
基調講演 ガイ・ライダー(ILO事務局長)「The Future of Work −仕事の未来−」
基調報告 濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構研究所長)「日本的柔軟性からデジタル柔軟性へ?」
パネル・ディスカッション
 コーディネーター 大内 伸哉(神戸大学教授)
パネリスト 得丸 洋(日本経済団体連合会国際労働部会長)
        安永 貴夫(日本労働組合総連合会副事務局長)
        神田 玲子(NIRA総合研究開発機構理事)
        濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構研究所長)

ライダーさんの基調講演は、仕事の世界で大きな変革が前代未聞の速さ・規模で進められようとしている中で、ILOはどのような社会正義が推進できるかの課題に直面しているとし、(1)AIなどによる技術のイノベーションが新たに雇用を生み出すのか、雇用を破壊するのか、あるいは仕事そのものを変えてしまうのか、といった議論があること、(2)高齢化という人口動態の変化は先進国共通の問題となっているが、育児・介護の問題、高齢者の雇用の問題、国際的な労働者の移動の問題、気候変動とのたたかいの問題などに直面していること、(3)政策決定の問題として、ディーセント・ワークを促進すること、仕事の世界で社会正義に則って雇用関係・労使関係を作りあげていくことが必要であること、などを話されました。

濱口さんの基調報告は、(1)現在進められようとしている働き方改革は、日本的柔軟性(正規労働者の職務内容・労働時間・勤務場所の柔軟性)から脱却し、日本的デュアリズム(正規労働者と非正規労働者との大きな格差)から脱却することをめざすものであるが、その先には、よりヨーロッパ社会に近い、職務内容・労働時間・勤務場所がより限定的な働き方の社会になる可能性があること、(3)「働き方改革実行計画」(2017年3月)には「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として、雇用型テレワーク、非雇用型テレワーク、副業・兼業の推進という3つの働き方を提起しているが、これらを可能にしつつあるのは、経済のデジタル化、その先にある第4次産業革命であり、その中で、時間と空間の制約を超え、「いつでもどこでも」生産活動ができる情報通信環境が生み出されつつあること、(4)デジタル化が可能とする雇用型テレワークは、育児介護等働き方に制約のある人でも仕事が可能となり、ワークライフバランスに有効である一方で、逆に働き過ぎの危険性も否定できないこと、(5)プラットフォーム経済によるクラウドソーシングの拡大は新たな自営業(雇用類似の働き方)を生み出すが、伝統的な労働法規制や社会保障制度の適用されない世界となり、この非雇用型テレワークの法的保護を検討する必要があること、(6)新たな自営業(雇用類似の働き方)には法的には厳密な意味での「労使」関係はないが、使用する側(ユーザー)と労務を提供する側(ワーカー)の間には事実上「労使」関係に近い社会関係が存在することになるので、新たなルール設定とその実施にいかに集団的「労使」関係を活用できるかが今後の課題となっていること、などを話されました。

*濱口さんの基調報告スライドは、下記にアップされています。
  http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20170512/resume/01-kicho-hamaguchi.pdf
 濱口さんのブログ(2017年5月17日)からも入れます。
  http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/

パネルディスカッションでは、AIが雇用に与える影響について問題提起をされた神田さんの議論が参考になりました。神田さんは、当面のAIは効率化が主であるが、そのインパクトは制度・経営戦略・教育などに大きく左右されること、雇用の問題では、正社員の働き方は職務型の働き方が一般的になり、自学による職業能力の習得(キャリア権)を保障したり、自営的就業者を支援する労働法が必要となること、などを指摘されました。


高齢社会による労働力人口の減少、グローバリゼーションのいっそうの深化、技術革新(AIなど)による産業構造の変化の中で、仕事の未来はどのようなものになるのか、あるいはどのようにすべきなのか、また、労働者を保護する労働法制や社会保障制度をどのように変えていくべきなのか、そこにはさまざまな議論がありましたが基本的な方向性は示されたように思いました。
それは、ラダーさんが指摘したように、これからの働き方は、社会正義が貫かれ、人間らしい労働条件の下で働くディーセント・ワークが実現されなくてはいけないこと、また、濱口さんや神田さんが指摘されたように、これまでのメンバーシップ型からジョブ(職務)型に変わり、知的創造性が求められる働き方になること、さらにITCを活用して場所的・時間的に自由な働き方、自営的な就労が大きく増加していくことが予想され、そうした働き方を視野に入れた労働法制・社会保障制度の整備が必要になること、などです。
議論は始まったばかりですが、AIなどによる新たな技術革新のもとでの労働や教育のあり方、政府が現在進めようとしている働き方改革についても、長時間労働規制のあり方を含め、議論を深めていく必要があると思いました。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
労働政策フォーラム「The Future of Work −仕事の未来−」 三鷹の一日/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる