三鷹の一日

アクセスカウンタ

zoom RSS 日本キャリアデザイン学会第13回研究大会

<<   作成日時 : 2016/09/12 23:00   >>

トラックバック 0 / コメント 0

日本キャリアデザイン学会の第13回研究大会が9月10日・11日の2日間、愛知県の愛知教育大学で開催され、参加してきました。

画像


第1日目は「高校のキャリア教育」の部会に参加をしたかったのですが、遅れての参加であったため、発表を聴くことはできませんでした。新しく会長に選出された脇坂明さん(学習院大学)の会長講演を聞き、懇親会に参加をしました。

画像


懇親会では、広報委員会のメンバーの方々や副会長になられた末廣啓子さん(宇都宮大学)らとお目にかかり、歓談をしましたが、久しぶりに梅崎修さん(法政大学)とお目にかかり、これからは住宅とキャリアデザインの関係についても検討する必要性が語られ、意見交換ができたのはよかったと思っています。

第2日目の午前中は、部会12「ライフキャリア」の司会を担当しました。

画像


池田玲子さん(羽衣国際大学)の「WLBの新しい課題としての雇用と治療の両立支援−がん治療の事例から−」と、斎藤嘉孝さん(法政大学)の「きょうだい構成と地元志向−大学進学および就職時における全国量的調査分析から−」の2本の報告でした。
池田さんの報告は、「病気の治療」と「雇用継続」の両立の問題を取りあげたもので、育児や介護との両立に比べて、ほとんど取りあげられてこなかった問題であり、興味深い報告でした。病気、特にがんにかかることによって、働いている人は「治療」のみならず「生活」そして自らの「キャリア」についての判断を求められることになります。今回の報告は、がん患者の治療と仕事の両立に取り組んでいる先進的企業の分析でしたが、治療と仕事の両立のために企業、国・自治体はどのような支援が必要なのか、今後大きな社会的課題となると思われ、研究の進展が待たれます。
斎藤さんの報告は、約2800名の大学3年生の調査分析で、男性の第1子(長男)の地元志向は必ずしも強くなく、むしろ女性の第1子(長女)の地元志向が強いことを明らかにしたものです。その要因については推測の域での発表にとどまり、もう少し深い分析が必要に思われた報告でした。

午後からの特別講演は、岩瀬大輔さん(ライフネット生命社長)の「ライフネット生命における人づくり」。自身のキャリアを跡づけながら、ライフネット生命を出口治明さんと立ち上げた経緯、その企業理念、人材育成を語られ、最後に「豊かなキャリアとは?」と問い、自分のやりたいことを見つけた人が一番ハッピーなのではないか、と語りました。

画像


主催校企画シンポジウムは、「豊かなキャリアのための「学びの場」の創造−人づくりのこれから−」をテーマに、幼児期から高校段階までの教育実践・研究に関わってこられた方々をシンポジストに招き、それぞれの段階におけるどのような活動がその後のキャリア形成につながっていくのか、そして最終的にどのような学びが豊かなキャリア形成へとつながるのかを考える趣旨でもたられたものです。

画像


司会は金井篤子さん(名古屋大学)、シンポジストは林牧子さん(愛知教育大学)、京免徹雄さん(愛知教育大学)、清水克博さん(名古屋市立香流中学校)、小林恭子さん(愛知県立日進西高校)。
林さんは、幼稚園での幼児の育ちを保障するための保育環境について説明され、ある保育園の5歳児の「ドーナツ屋しよう」を例に、自分がやりたいことを自分で見つける、自分の思いを実現するために挑戦する、うまくいかないときは大人の力を借りる、その中で子どもは自ら考える態度、自発性・主体性を身につけていくことを明らかにし、今後の課題として保育者自身が幼児のキャリア形成の視点をもちつつ、発達を支援することが求められていることを指摘しました。
京免さんは、フランスにおける中等教育における進路指導の動向を紹介し、2013年の「情報と進路指導と経済・職業世界発見の個人行程」では教科を通して職業世界の知識・コンピテンシー習得が目指されていることを紹介し、教科での市民育成と進路指導での労働者育成が位置づけられ、「共通基礎知識・コンピテンシー・教養」の再定義が行われ、特に教科の意義を再び問うことの重要性が説かれているとしています。これに対して日本では、学校での学びが将来に結びついていると子どもたちは意識しておらず、キャリア教育も体験活動に偏っているとし、「教科」を出発点に、(職業)社会との接点を探ること、各教科の意義を精査し、育成する(知識と)コンピテンシーを明確化すること、学びを個人化・可視化するとともに、連続性を担保することで、キャリアの一部にすること、社会とつながる能力をもった教員を育成すること、を課題としてあげました。
清水さんは、中学校のキャリア教育の現状を、多くの学校では、職業調べ、職業人講話、職場訪問、職場体験活動、上級学校調べ、進路計画といった取り組みが中心で、教科や特別活動での取り組みがキャリア教育の視点から系統的な実践として、実践を計画している例は少ないことを指摘。たとえば合唱コンクールという特別活動を例に、課題解決に向けた目標設定、活動中の問題の克服、認め合い、活動成果の確認、次の実践へというPDCAサイクルをまわした取り組みが必要で、生徒は何をもって自己の成長、他者の成長をとらえ、認め合うのか、そのためには、自己の成長を確かめるためのエビデンスの確保、成長を実感させるための工夫、成長を認め合うようにするための工夫が必要であるが、現状ではそれが足りないと、課題を指摘しました。
林さんは、2014年・15年度に「高等学校における「多様な学習成果の評価手法に関する調査研究」国語における実践研究校」の指定を受けたのを機に、アクティブラーニング型授業による「面白くて楽しい」「協働する」「身につく力がわかる」、このことが社会に出て役に立つ力になり、これこそがキャリア教育だという考えに立ち、国語の授業で取り入れた実践を3つ、すなわち、ペアの片方が文章を読み、相手に文章の概要を説明し、説明後聞き手が説明を再現するという「ピア・リーディング」の取り組み、新聞の社説を読み比べ、他者の意見を知り、見出しで論調を確認し、小論文を書く取り組み、そしてプレゼンテーションの取り組みを紹介されました。そして、AL型授業では、「協働して学ぶ体験の積み重ね」「振り返りの積み重ね」+「主体的に学びたくなる仕掛け」が授業づくりで心がける必要があること、そのうえで、カリキュラムマネジメント、高大接続改革が進められようとしている現在、「身につけたい能力を意識した授業」に取り組むことが、これからの課題であると指摘しました。

幼児段階から小学校、中学校、高校段階と、それぞれの段階でのキャリア発達をどのように保障していくのかがキャリア教育では問われています。これまでは、京免さんが指摘していたように、日本では体験活動に偏りすぎていました。小林さんの実践のように、教科を通してキャリア教育に取り組むこと、また、清水さんが特別活動をキャリア教育の視点から見直し取り組むことの必要性を指摘したように、要は各学校段階において、学校の教育活動全体を通してキャリア教育に系統的・計画的に、そして意識的に取り組むことが今こそ求められていることが再確認できたシンポジウムでした。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
日本キャリアデザイン学会第13回研究大会 三鷹の一日/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる