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zoom RSS 「若者雇用促進法」活用セミナー

<<   作成日時 : 2016/03/01 21:05   >>

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3月1日から会社説明会が解禁になり、大学生の就職活動が始まりました。
若者がせっかく就職をしても早期離退職が高卒で4割、大卒で3割を超え、「不本意非正規雇用」の若者も増えています。また、若者が使い捨てにされる「ブラック企業」も後を絶ちません。
納得できる就職には、正確な企業情報を得ることが重要ですが、若者が個人で企業に情報を求めるのは難しいのが実情です。こうした状況を少しでも改善するために「若者雇用促進法」が3月1日から施行され、新卒者等の募集を行う企業は職場情報の提供が義務づけられました。
施行前日の2月29日、連合の主催による「若者雇用促進法」活用セミナーがTKPガーデンシティ御茶ノ水で開催されたので、参加をしてきました。

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セミナーのプログラムは、次の通りでした。
主催者挨拶 逢見直人さん(連合事務局長)
五百旗頭千奈美さん(厚生労働省職業安定局若年雇用対策室長)「若者雇用促進法の概要について」
村上陽子さん(連合労働局長)「若者雇用に対する連合の取り組み」
パネルディスカッション
(パネリスト)上西充子さん(法政大学教授)、常見陽平さん(千葉商科大学専任講師)、駒井卓さん(連合中央アドバイザー)、(モデレーター)村上陽子さん

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五百旗頭さんの講演は、若者雇用促進法の内容を紹介したもので、(1)一定の労働関係法令違反を繰り返す企業について、求人票の不受理ができるようにし、新卒者に紹介しないように対応ができるようになったこと、(2)適職選択ための取り組みを促進するため、新卒者の募集を行う企業に対し、職場情報について幅広い提供を努力義務化し、求めがあった場合は、募集・採用に関する状況(過去3年間の新卒採用者数・離職者数など)、職業能力の開発・向上に関する状況(研修の有無及び内容など)、企業における雇用管理に関する状況(前年度の月平均所定外労働時間の実績、有給休暇の平均取得日数など)の3類型ごとに1つ以上の情報提供を義務化したこと、(3)認定基準を満たした、若者の雇用管理が優良な中小企業をユースエール認定企業として認定し、若者の適職選択や企業の採用を支援すること、などを説明、また、青少年の雇用機会及び職場への定着に関して事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針について説明をしました。
質疑では、事前の質問に対する回答がありました。大卒だけでなく高卒求人において、求人票と実際の労働条件等が違っていた場合、どのような行政指導・措置をとるのか、という私の質問に対しては、労働条件は募集時とその後の変更はあり得るので、ただちに違反とはいえないので、ハローワークに相談してほしい、というあいまいなものでした。

村上さんの報告は、若者雇用対策対する連合の考え方と取り組みを紹介したもので、(1)若者雇用促進法に対しては、開示の求めがなくても企業は積極的に職場情報を提供する、労働組合に関する情報を開示すること、若者の職場定着に向け、職場環境に問題がないかを確認する、ユースエール認定企業制度を活用する、労働組合の進入組合員教育の充実をはかる、(2)連合の若者に対する取り組みとして、電話による労働相談キャンペーンの実施、就職活動を応援するイベントの開催、ワークルール教育の実施などを紹介しました。

パネルディスカッションでは、現在の就活での問題について、上西、常見、駒井さんから発言があり、それを受けてフロアからの質問を受け、意見を交わしました。

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上西さんは、キャリアセンターなど大学関係者向けに、就活では企業実態をいかに知るかが重要だが、そのためには企業情報の開示が必要であること、早期離退職は長時間労働が大きな原因で、そことどう向き合っていくかが大切であること、労働条件の情報開示の大きな問題の1つに固定残業代の問題があるとし、若者雇用促進法の指針で明示された固定残業代の明示の仕方に反するような求人が多数あること、固定残業代を隠した募集が行われている実態を学生には知ってほしいこと、固定残業代を募集段階では示さず、契約時になって固定残業代を含む初任給を提示するといった悪用例もあるので、そのような場合はすぐ専門家に相談するとともに大学でも周知してほしいこと、職場情報を積極的に開示する企業が真面目という動きを作っていきたい、と話されました。
常見さんは、リクルートという「ブラック企業」に勤務した経験をふまえつつ、大学教員になって、若者の働く環境が悪化していることに驚いているとし、大学は学生募集のために就職率を大事にしているが、それによって若者の労働を劣化させてはいないか、疑問を投げかけました。そして、マイナビ・リクナビなどの求人広告は所詮広告であり、広告主に不利な内容は載りにくい、とし、ネットによる大量応募モデルは、水面下での学歴差別・区別を助長していること、また、リクルートなどがリクナビなどから手を引かないのは総合情報産業化し、大学生のリストを効率よく集めることができることすなわち、そのIDを集めるプラットホーム化し、ビッグデータとなっていることを明らかにしました。企業が採用を成功させるためには、企業力×採用力、が必要だが、注意してほしいのはブラック企業には採用力があることで、若者は就活は初めてで、だまし放題になっている。若者雇用促進法により、欺瞞に満ちた求人広告業界に風穴を開ける必要を説きました。
駒井さんは、昨年3月までつとめていた東京新卒応援ハローワークでの、若者の就職活動支援を紹介しました。

フロアからの質問を受けての議論の中では、常見さんが、大学と企業の関係について、大学は目先の就職率にこだわるのではなく、大事な学生を送り込むのだから、企業の実態をできるだけ明らかにさせるように情報を開示させることで、片手で殴り合い、片手で握手するくらいがよく、企業に媚びないことも大事だと指摘していたのが印象的でした。また、上西さんは、大学のキャリアセンターがよく「自分の目で確かめよう」と伝えるが、学生はそれでころっと騙されるので、客観的な労働条件などの情報をみることの大事さを教えてほしいとし、キャリアセンターが大学に来た求人をチェックし、問題があれば企業に連絡を取り、きちんとした情報を学生に伝えることが大事だと指摘しました。駒井さんは、さまざまな企業情報を収集することと、その中で企業の特色を学生に伝えていくことの重要性を指摘しましたが、適応の面だけでなく、社会に出たら、労使の力関係が違うので抵抗の面も必要だと指摘、就活時には情報の不均衡があるので、その是正に若者雇用促進法がかつようできるのではないかと述べていました。

議論を聞いていて感じたのは、常見さんがリクルート社(以下、リ社)の元社員で、リクルート事件にも触れていたこともあり、私がかつて高校教員であった時代に関係した専門学校の情報誌をめぐる問題と、マイナビ・リクナビなどの求人広告の問題とはよく似ていると思ったことでした。
リ社などが発行していた専門学校の進学情報誌は、常見さんが指摘していたように、マイナビ・リクナビと同様の「広告集」で、当初は、専門学校も各種学校も無認可校も一緒くたに掲載され、どの学校が専門学校かも判らず、しかも誇大宣伝が行われ、根拠も示さず就職率100%なとのうたい文句が並んでいました。広告主である専門学校等に都合の悪い情報は当然載りません。しかも当時はネットではなく、紙媒体でしたから、電話帳の厚さの情報誌がトラックで高校に送られてくるために教員が悲鳴をあげる事態になりました。こうした状況に対し、生徒や専門学校のことがよくわからない教員に対して、どの学校が専門学校なのか判るように専門学校と無認可校を区別して掲載すること、根拠のない誇大宣伝はやめることなどを、折に触れて発言し、次第に多くの教員が批判するようになりました。こうした批判を受けて専門学校の団体である全専各総連(全国専修学校各種学校総連合会)は広告表示の自主規約を作り、リ社は専門学校と各種学校、無認可校を区別する情報誌を発行するようになりました。そしてリ社は、高校に大量に情報誌を持ち込んでくることへの批判をかわすために、情報誌を宅配に切り替え、高校にはさまざまな物品を提供したり全国高等学校長協会の協力要請をしたりして、宅配のための生徒名簿を収集しました。リ社という一営利企業に対して生徒の個人情報を提供することに対しては、私を始め何人かの高校教員が批判をし、千葉県では生徒名簿を提供しない申し合わせをたり、私も文部省の協力者会議で意見を述べ、全高進(全国高等学校進路指導協議会)の研究大会で意見発表をしたりしました。しかし、私たちの動きに対してリ社は、千葉県の進路指導研究団体の役員や全高進の事務局長に、批判の動きを押さえるように働きかけるとともに、当時の高石邦男文部事務次官に対してはリ社関連の未公開株を渡して指導をしないように働きかけたのです。これがリクルート事件文部省ルートの贈収賄の構図でした。
事件後、私は、所属する都高進(東京都高等学校進路指導協議会)を通して東専各(東京都専修学校各種学校協会)に情報誌に頼らない専門学校の情報提供を働きかけ、統一様式による「専門学校概要」の作成で合意をみました。その作成過程では、学生の在籍者数やその年度の卒業生数、進路状況(就職者・進学者・未定の実人数)、中退者数とその理由などについて記載することについては専門学校側では抵抗があり、在籍者数については人数の記載をしなくてもよいとの妥協をして合意をみた経緯があります。
今回の職場情報の開示についても、過去3年間の新卒採用者数・離職者数や有給休暇の平均取得日数などについての情報開示は、数字が一人歩きをするとして、おそらく企業は消極的だろうと思います。
専門学校が情報開示に消極的であることが、専門学校の社会的評価がいまなお低いままにとどまっている要因の1つになっています。
若者雇用促進法の施行を機に、大学も高校も、学校に寄せられた求人票を学生・生徒の立場からチェックし、必要な職場情報を開示させていく取り組みを進めていく必要があります。そして、求人情報を偽ったり、情報を隠したりする企業を批判していくとともに、積極的に情報開示をしている企業を評価し、学生・生徒に周知していくことが重要だと考えています。そして、そうした取り組みを通して将来的には、職場情報の開示を義務化し、虚偽の求人情報を行った企業には罰則を課すように法律を改正していく取り組みを強めていくことが必要だと思っています。

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