三鷹の一日

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<<   作成日時 : 2016/01/15 07:03   >>

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今週の「進路指導論」の授業は、キャリア教育の実践例がテーマ。私が桜華女学院高校(現・日体桜華高校)に在職していたときに、コーディネーターとして、先生方の協力を得て、全校的に取り組んだキャリア教育について紹介しました。

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総合的な学習の時間を核に行った、総合学習「人間・生きる」の取り組みです。

 @総合学習「人間・生きる」のねらい
  (1)生徒たちが、自分の人生と生き方(人生の課題)を社会のあり方(現代の課題)と重ねて
     選択し、未来に向けて自覚的に生きていく力を身につけていくこと。
     →知的関心の形成と問題解決能力、体験・コミュニケーション能力、創造的表現能力、総
     合的思考力と実践能力の育成。
  (2)「生き方・働き方」の学習に焦点をあてた教育活動に取り組む。
   ・自己理解を深めること、「なりたい自分」を探究すること、職業や卒業後の具体的な進路に
    ついての情報を収集したり調査研究すること、それをふまえてキャリア・プランを描いてみ
    ること。
   ・人が人間らしく生き、働くとはどういうことなのかについて本質的な理解を深めること、現
    代社会における人間のさまざまな働き方、産業構造や職業、労働の実態などについて、きち
    んとした科学的認識を獲得すること。       
   ・将来における職業的自立を果たしていくために、専門性や専門的な知識・技術を身につける
    ための基礎を獲得すること。(普通科の高校では学校制度上の限界が自ずとあるが)
   ・自らの専門的力量を発揮し、充実した働き方ができるように、職場そのものを改善していけ
    るような力量を身につけること。      
   ・市民性を身につけ、主権者として振る舞うことの出来る力量を形成するとと。
 A1学年
  「職業・学問を学ぶ」
    自分史づくり
    職業研究
    職業インタビュー
    大学生とのカタリバ
    大学の「知」を学ぶ
    学問・学科研究
    模擬授業体験
    進路講演「女性とキャリアデザイン」
    キャリアをデザインする
    →職業と学問の世界を知り、自己の将来を考え、進路目標をつくる
 B2学年
  「現代の課題を学ぶ」
    進路講演「男女共同参画の時代を生きる」
    上級学校研究
    大学説明会
    夏休み授業体験
    ジョブ・シャドウイング
    労働法教育−「働くルール」を考える、進路講演「働く女性に必要な法律」
    模擬授業体験
    進路講演「変わる社会、変わる女性の働き方」
    キャリアをデザインする
    →現代の課題を学び、共に生きることの大切さを知り、社会と自分との関係をとらえ直す
 C3学年
   「社会のあり方と自己の生き方を考える」
    希望進路に関わる課題研究
    学部・学科研究、企業研究
    夏休み授業体験、学校見学
    会社見学
    レポート作成
    →社会のあり方と自分の生き方を考え、課題研究を進めるとともに、自己の進路実現をめ
     ざす
 Dまとめ
  ・総合学習の感想
  ・総合学習の評価
  ・生徒の希望進路の推移
  ・生徒の学習成績の推移


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学生たちは、これまでの授業でも、私の経験を話してきましたので、断片的には知っていたことが、3年間を通して体系的に取り組んだものであったことが、多少なりとも理解できたようです。

学生たちの感想には、次のようなものがありました。

・山野先生のキャリア教育実践を紹介していただき、大変興味深かった。まずそのねらいは、近い将来ばかりでなく、人生という長いスパンのなかの節目を意識したもので、まさによりよく生きていくための教育を目指すものと理解できた。また、学年ごとに様々な体験や考える機会が用意されており、非常に充実したプログラムであると思った。
 桜華女学院の生徒は、進学、就職、専門学校と、進路が多方面にわたっているため、すべての分野に目配せをしたプログラムを用意しなければならないと思うが、それが逆に生徒にとっては視野が広がるというメリットにつながるのだろうと思う。
 また、時間的にも精神的にも余裕のある1年生のうちに、大学への訪問や大学生との関わり、自分史づくりなどをすることで、自分についての発見、社会についての発見ができるのではないか。この1年生での体験が、2年、3年をどう過ごすかに大きく影響してくるのでは、と思う。最後に先生が述べられていた、「目標が持てれば学力は伸びる」というのはもっともだと感じている。意欲・関心を持たせることが、目標に向かって頑張る原動力となるはずである。
 このようなキャリア教育を受けてみたいと思ったし、大学に進むことがあたりまえの進学校の生徒にこそ、必要なのではないか。

・進路多様校における進路指導は、様々な進路を想定しながら活動内容を形成していかなければならず、労力のかかりそうなものですが、それだけに示唆的な面を多く持っていたように思います。大学との連携によって進学指導を手厚く行い、かつ職業研究やインタビュー、ジョブ・シャドウイングによって職業への理解を深めるということは、進学校か否かを問わず、あらゆる学校で行われるべき進路指導の基本的なありようであるように思います。また、インタビュー等にあたって自分でアポを取らせるなど、生徒の主体的な活動を大事にする点も重要であるように思います。進学・就職を問わず、社会で生きていくための重要な経験となると思います。

・講義を通じて山野先生の実践がどのようなものか気になっていたが、これほど考え抜かれたものだとは思わなかった。外部の業者に一任するのではなく、学校の特色に合わせて教員自らが動く。そうすることで生徒たちにキャリア教育のねらいが伝わり、しっかり自分のこととして取り組めると感じた。私も高校時代にこのような授業を受けていたら、働くことに対する意識が変わったように思う。最後にキャリア教育と学力の推移があったが、相関関係にあるとは思わなかった。進学校の教員たちにもキャリア教育の意識が浸透すれば良いのだが。

・半年間かけてキャリア教育について学び、ある程度の知識や自分の考えを持てるようになった段階で、桜華女学院高校での実践や生徒の感想について知ることができ、キャリア教育の具体的なイメージを持てるようになった。
 教師が進路指導・キャリア教育についての知識を身につける必要があるのはもちろんだが、民間に就職するような学生もこういう知識を持つとよいのではないかと感じる。将来子育てのときに役立つと感じるからだ。
 様々な進路の選択肢について学ぶことができ、学生のうちに見識を広めることができて良かった。

・総合学習の時間に「人間・生きる」という1つのテーマを決め、3年間一貫した目的を持って教育が行われていることが、まず素晴らしいと思いました。(私の高校では全くそのようなことは行われておらず、そもそも進路指導のようなものもほとんどなかった。)こうして3年間かけたキャリア教育をすることは、自分の将来について真剣に考えるためには本当は必要なことだと思います。

・具体的な進路指導の取り組みについて、様々なものがある、とわかりました。特に高3の取り組みでゼミがあるのは驚きました。レポートの質を高めるというより、自分の進路への意志を明確にするということに重きを置いており、それが実現されているのだと思いました。また、キャリア教育によって大学進学率が上がる、というのは興味深く思いました。

・自分の高校での周囲の様子を思い出してみると、ただ偏差値の高い大学をなんとなく目指すのみでした。そのときはそんなものなのかなと思っていましたが、大学をそろそろ卒業するという今の段階になって、自分は結局何になりたかったのか、この大学を卒業して何になれるのかといった進路のことを人生で初めて考えたと言っていた同級生が数多くいました。大学を選ぶ前の高校生の段階でキャリア教育をしっかりと行い、自分の将来について真剣に考える時間があれば、もしかしたら将来が変わってきた人もいるのではないかと考えざるを得ませんでした。

・課題の期末レポートの執筆を始めてみると、改めて自らの出身高校がいかにありきたりな進路指導しか行っていないのかということに気がつきました。桜華女学院高校の総合学習を通してのキャリア教育は独創性に満ちていて、何より「考える機会を与え、自分で興味・関心のある分野を開拓していく」という、生徒のやる気を引き出していく内容になっていて、母校にいた際にはあまり実感することのなかった”進路指導担当教員の必要性・重要性”が感じられるものでした。
 山野先生の後任の方が「辛い」とおっしゃっていたように、キャリア教育の負担は相当なものなのでしょう。しかし、だからこそ、結果につながるものが進路指導なのだ、と本日の授業で身にしみました。

・キャリア教育の実践例はとても参考になりました。特に大学・大学生、職場との提携した活動が豊富で、生徒の意識やモチベーションが高まると思いました。大学の教授を招いた講演会というのは、一般的な学校で行うことは可能なのでしょうか。それとも山野先生のつてによるものなのでしょうか。
 また、自分の高校生活から考えると、とても活動量が追いつかないように思いました。総合の時間などでもセンター試験対策を行っていた学校でした。ほとんどの生徒が大学進学を希望する学校ならば、これも1つのキャリア教育時間なのかな、とも考えましたが、今回の実践事例のような取り組みが全く不必要なわけではなく、気をつけなければならないのは、その学校の生徒のニーズを見極めたうえで、「進路・キャリア」と「進学」のウエイトを適切に調整することだと思いました。


学生たちには、将来教職に就くことがあれば、私の実践を少しでも参考にして、キャリア教育に取り組んでもらえるとありがたいと思っています。

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