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zoom RSS 日本産業教育学会第55回大会

<<   作成日時 : 2014/10/21 12:53   >>

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日本産業教育学会第55回大会が10月18日・19日、大東文化大学で開かれ、参加してきました。

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18日はシンポジウム「就職氷河期(非正規雇用)の若者に確かな職業能力を(職業能力の形成)→若者の職業能力の形成について−既卒者、非正規社員の職業能力形成について−」が開かれました。
司会・進行は沼口博さん(大東文化大学)、コメンテーターは新谷康浩さん(横浜国立大学)、パネラーは児美川孝一郎さん(法政大学)、河添誠さん(首都圏青年ユニオン)、山見豊さん(元職業能力開発総合大学校東京校)でした。

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児美川さんは、「就職氷河期の若者に確かな職業能力を−学校教育の課題に焦点を当てて−」と題して、次のような点を指摘しました。
・日本の学校・大学教育は、若者は「メンバーシップ型」で雇用されることが前提で、「新卒採用から日本的雇用」というルートに乗ることで若者の「学校から仕事の世界への移行」が果たされてきたが、90年代後半以降、その前提が崩れる危険性に対して無自覚で、この無防備が若者の非正規雇用の増大という「惨状」につながったこと。
・この事態に学校・大学教育が対処するには、@学校・大学教育の段階での職業教育・専門教育を強化する必要があった、A「個人の自律的なキャリア開発」の必要性を教え、その構え・能力・知恵を授けるべきであったこと。
・キャリア教育は本来、この@Aの期待に応えることが期待されたのだが、実態は真逆で、キャリア教育は職業・専門教育とは切り離されたまま放置され、「正社員モデル」を前提にした適応主義に陥っているという「キャリア教育の失態」があること。
・したがってキャリア教育を@Aの課題に答えうるような教育に作り変えていく必要があること。

河添さんは、「「一人前の職業人として成長する権利」をいかに保障するか」と題して、次のように発言しました。
・「就職氷河期」を問題としてとらえる論者が、無意識のうちに前提としているのは、正規雇用にさえ就ければOJTで職業能力がつけられるというのだが、正規雇用でも若年者の職業能力がつけられる状況にはないこと。又、学校で職業能力形成をしても、非正規雇用が拡大されていく状況下では、企業は労働者を解雇しやすい状況にあること。
・失業時の所得保障の問題もあり、生活維持を重視せざるを得ないため、本来職業生活への移行を支援するはずの職業訓練が、失業給付のための手段化されていること。また、非正規雇用労働者ほど職業訓練へのアクセスが遠く、本来救うべき人たちが職業訓練にアクセスできない矛盾があること。
・自動車組み立ての熟練労働者が解雇され職業訓練を受けて介護労働者になった事例があるが、職業訓練を受けて再就職できたとしても、異分野に転換するのは合理的とは言えないこと。
・失業時の所得保障の抜本的強化が不可欠であること。そのうえで職業訓練が受けられることを権利として確立する必要があること。また、労使の合意のもとに、産業別・職業別に労働者を定着させて、非正規でも職業能力を確実に形成できる仕組みづくりが不可欠であること。

山見さんは、「我が国の公共職業訓練の現状について」と題し、公共職業訓練が若年者の職業能力形成の展望を見いだすヒントになるのではないかとし、公共職業訓練は多様な役割を果たしてきたこと、とくに短期課程活用型の就職率は高く、成果が上がっていることをあげ、公共職業訓練の果たす役割は大きいことを話しました。

質疑の中では、寺田盛紀さん(名古屋大学)から、児美川さんに対して、キャリア教育がうまくいっていない原因は何かを聞かれていましたが、これは、大学を含め学校関係者が考えなくてはいけない問題であり、キャリア教育の再構築が求められていると思っています。
また、ジョブ型労働市場への移動という主張があることに対する質問に対して、河添さんは、職種や技能が評価されて労働移動することは望ましいが、労働組合のイニシアがないと企業に買いたたかれてしまう懸念があるとし、濱口桂一郎さん(労働政策研究・研修機構)の議論にはその点が欠けていることを批判され、刺激的でした。

19日は、自由発表では美容師養成に関わる分科会と専修学校部会に参加をしました。
日高淳さん(法政大学大学院)の「「単線型専門職」の養成におけるカリキュラムの現状と課題」は、養成施設指定制度による教育内容の規定性はあるものの、「選択科目」と「付帯教育」については、教育理念や設立母体の影響を受けて、学校間のカリキュラム編成と職業能力規程の違いが認められることを明らかにした発表で、高校の進路指導にあたっても示唆に富む発表でした。
竹井沙織さん(名古屋大学大学院)の「資格教育分野における就職活動に関する一考察」は、全国の美容師・理容師養成の学校に対し、職場体験・インターンシップの取り組み状況をアンケート調査したもので、対象者、実施回数、実施機関、就職との関係などについて結果を明らかにした発表でした。理容・美容教育の中でインターンシップはどのような位置づけが望ましいのか、もう少し明らかにする必要があることと、サロン(職場)見学までもインターンシップに含めて分析されていることに対しては、吉本圭一さん(九州大学)も批判されていましたが、やはり問題ではないかと感じました。

同分野の学会には、キャリア教育学会やキャリアデザイン学会もありますが、より職業教育に特化した、この学会の発表を聞くことも刺激があり、勉強になったと思っています。

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